TBS系ドラマ「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎(りんご)たち」で知られるテレビプロデューサーで演出家の大山勝美(おおやま・かつみ)さん(本名勝美=かつよし)が5日午前0時40分、多臓器不全のため都内の病院で亡くなっていたことが8日、分かった。82歳。葬儀・告別式は近親者で行った。後日「お別れの会」を開く。喪主は妻の女優渡辺美佐子(わたなべ・みさこ=81)が務める。

 十数年前に胆管がんの手術を受け、6年後に再発した。その後、腸閉塞(へいそく)となり、入退院を繰り返した。それでも仕事は続け、9月26日にはBS-TBSの森繁久弥さんの特番でコメント収録を行い、同30日には所属する制作会社「カズモ」の会議にも出席した。しかし、10月2日に腸閉塞で再び入院。渡辺、長男ら家族にみとられて静かに息を引き取った。

 大山さんと渡辺は演出家と女優として知り合い、65年に結婚。渡辺の舞台初日には必ず駆けつけるなど、半世紀に及ぶ、おしどり夫婦だった。渡辺の所属事務所によると、渡辺は11月の舞台「黄昏にロマンス」の稽古中で「舞台に集中したい」と会見の予定はないという。

 旧満州(現中国東北部)生まれ。早大卒業後、57年にTBS入社。ドラマ畑一筋に歩み山田太一さん脚本の「岸辺のアルバム」「想い出づくり」などを手掛け、演出家久世光彦さんらとともに「ドラマのTBS」の全盛期を支えた。TBS退職後、カズモを設立。演出家、プロデューサーとして精力的に活動を続け「蔵」「天国までの百マイル」「長崎ぶらぶら節」など多くのドラマを送り出した。

 著書に「テレビ原人の昼休み」「私説放送史」など。94年紫綬褒章、03年勲4等旭日小綬章を受章した。