【ニューヨーク11日(日本時間12日)=近藤由美子】X

 JAPANが音楽の聖地、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で初公演を行った。亡くなったメンバーも一緒に目指し、ようやく実現した夢の公演。メーン会場を埋めた約1万5000人の観客を前に、YOSHIKIとToshIは、万感の思いで涙した。

 メンバー同士で何度も抱き合った。YOSHIKIは深紅のバラの花束を振り回しながら花道の先端まで行き、客席にダイブした。ToshIをおぶって花道を歩いた後は、2人であおむけに寝転んだ。抱き合った2人の顔は、涙でクシャクシャになった。「思いがいろいろこみ上げてきて…」。YOSHIKIは言葉を詰まらせた。

 念願の公演だった。1996年。YOSHIKIは米バンド、キッスのMSGでの復活公演を観賞し、「いつかここで公演を」と誓った。それは、メンバー全員の夢にもなった。しかし、97年末にバンド解散、98年にHIDEさん(享年33)が急逝、ToshIの洗脳騒動…。07年に再結成し、08年に同所公演がようやく決定したが、YOSHIKIの頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアが悪化。開催断念を余儀なくされた。

 同所はザ・ローリング・ストーンズら大勢の世界的スターが公演を開催。日本人単独公演は12年のラルクアンシエルに続き、2組目となる。床につきやすい銀色のテープは使用禁止、音響や照明担当は同所専属スタッフ以外はNGなど、音楽の聖地の厳しい規制にも、臨機応変に対応した。

 YOSHIKIは同所公演をともに目指した元メンバー、HIDEさんと、11年に亡くなったTAIJIさん(享年45)の名を何度も口にした。「今日、私たちは、心の中のTAIJIとHIDEと一緒に演奏しています」。ステージに置かれた左右モニターの上に、バラを1輪ずつ置いた。

 10年に全米デビュー。人気は確実に浸透している。観客の大半が海外ファン。メリーランド州在住女性(26)は「X-は日本のロックのパイオニア的存在。彼らの念願がかない、私もうれしいわ」と喜んだ。MCは英語だが、「紅」「X」などはあえてオリジナルの日本語詞で披露するなど、日本発ロックバンドのプライドをにじませた。

 YOSHIKI自身も終演後に手応えを口にした。「やっと最初のドアを開けたかな。東京ドームで18回公演を行ったけど、ここでもあと10回やりたいなと」。その上で言った。「We

 will

 be

 back!(また戻ってくるよ)」。新たな誓いの言葉だった。