10日に悪性リンパ腫で亡くなった高倉健(たかくら・けん)さん(本名小田剛一=おだ・ごういち、享年83)の死を悼み、高倉さんが55年に入社した古巣の東映が19日、都内と京都の4カ所に献花台を設置した。

 映画「鉄道員(ぽっぽや)」「ホタル」などを製作した元東映社長の高岩淡氏(84)は19日、東映京都撮影所で高倉さんへの献花をし、同郷の福岡出身で、同学年でもある盟友を「日本一の役者というのは間違いない」としのんだ。

 「昨日から一睡もしてないんだ」。そうつぶやいた高岩氏の目には涙が浮かんだ。高倉さんは、撮影地モンゴルでの相撲人気から将来の角界のモンゴル旋風を予感するなど、流行に敏感な一方で、役者としては「一番役者らしくないが、地の迫力があった。無二の役者だ」と敬服していた。

 芝居の巧拙は「鶴田浩二、松方弘樹の方が上かもしれない」と言いつつ「自分で試して(自分の中に役柄を取り込んで)苦悩しながらまっとうする力は誰にもない」。全力で俳優高倉健を演じた胆力にほれ「大事な人。健さんが死ぬとは思っていない」と話し、唇を真一文字に結んでいた。