女優広末涼子(34)が22日、今月10日に亡くなった高倉健さん(享年83)について語った。1999年公開の映画「鉄道員(ぽっぽや)」で共演。撮影時、高倉さんが見せてくれた役者魂を引き継いでいく決意をこの日、取材陣の前で示した。

 高倉さんの訃報が届いた18日に「ただただ悲しく、さびしいです」とコメントした。4日がたち、広末に新たな思いが加わった22日、東京・丸の内TOEI1で、岡田将生(25)と共演した映画「想いのこし」(平川雄一朗監督)の初日舞台あいさつに登壇。スタッフ、キャスト一丸となって映画を作り、観客の喜ぶ顔を見た後に言った。

 「悲しんでばかりはいられない。日本映画に生きる人間として、健さんの遺志を引き継いでいきたい。身の引き締まる思いでした」

 「鉄道員」では、高倉さん演じる鉄道員の娘を演じた。製作発表時、セットでの撮影しか予定になかった広末に、高倉さんが「北海道にいらっしゃい」と声を掛けてくれたという。

 「とても寒い中で皆さん頑張って撮影していることを体感して、健さんの立ち姿を見られました。健さんは『お芝居に生かしなさい』と言うわけではないんです。ただ、『いらっしゃい』って誘ってくださった。でも、この経験があっての撮影と、ただセットに入るのとでは全然違いました。背中で教えてくれた。日本人の男の人のかっこよさ、美しさを目の当たりにしました」

 高倉さんからは会った瞬間、とてつもないオーラを感じたが、安心感も温かさも伝わってきたという。「紳士的なのにフレンドリー。低い声で『涼子』と呼ばれると安心できました」。愛用していた携帯用ウイスキー入れをプレゼントされたり、完成作品を隣で見た時、大泣きすると、頭をなでてくれたことも思い出だ。「もっともっと作品を見たかったですし、共演したかった…」。

 共演は1作のみだったが、公開から15年をへても、高倉さんのことを「役者魂を肌で感じさせてくれた役者さん」と言い切れる。「そういう人間になれたらと思います」。34歳、大人の女優になった広末の決意表明だった。【小林千穂】