今村雅弘復興相は7日の定例会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者の帰還を「自己責任」とした4日の会見での発言を撤回した。最初は明言せず、記者に再三確認を迫られた末、「撤回すると理解していただいて結構だ。意図するところと誤った伝わり方をした」と答えた。「(自主避難者が)いろんな状況を勘案しながら自らの判断でやっているとの意味で申したが誤解を与え、反省している」とする一方で、「裁判でも何でもやればいい」発言については「一般論で述べた」と繰り返し、撤回はしなかった。

 手元の紙を見て答える場面が多く、言葉に詰まると事務方がサポート。「誠心誠意職務に当たり、被災者に寄り添い、復興に全力を尽くす」と辞任は否定したが、国会答弁の焼き直しだった。答えが物足りず、多くの記者が質問を畳みかけたが、事務方は「質問は1人1問」と指定。今村氏が4日の会見で、質問を畳みかけられて激高した経緯があるためか、事務方が質問を遮る場面も多かった。

 福島の地元紙記者は、現在の法体系が行政による自主避難者の支援続行を難しくしていると指摘。今村氏は法体系見直しへの決意を問われたが「原因を分析し、何が足りないのか対策を立てる参考にしたい」とだけ述べ、今後の支援体制も従来の見解を繰り返した。

 会見は約20分で事務方が打ち切り、怒った報道陣が詰め寄る場面も。今村氏は8日、安倍晋三首相に同行して、先月末に避難指示が一部解除された福島県浪江町などを視察する。行く先々で、厳しい視線にさらされることになる。【中山知子】