将棋の脇謙二九段(65)が1日、大阪府高槻市の関西将棋会館で指された竜王戦6組昇級者決定戦で安用寺孝功七段(51)に99手で敗れ、フリークラス規定により同日付で引退した。

先手の安用寺は三間飛車を採用。負ければ最後となる一局に、脇は「いつも通り全力で自分らしい将棋をしようと」と臨んだ。難解な終盤でも粘り強く指し続けたが、及ばなかった。

79年、18歳で四段昇段。83年の第7回若獅子戦で優勝し、第3回、第4回の早指し新鋭戦でも優勝するなど、若手時代から頭角を現した。順位戦ではC級2組に3期在籍した後、C級1組を1期で駆け抜けてB級2組に到達。第40期から第42期にかけては順位戦で21連勝を記録し、その後もB級2組に22期にわたって在籍した。

矢倉戦法における「脇システム」は高く評価され、第47回将棋大賞(19年度)の升田幸三賞特別賞を受賞。「おもしろい変化が多く、新しい発見がいっぱいあった」と振り返った。

思い出の一局としては、92年の第5期竜王戦1組決勝での米長邦雄九段(永世棋聖)戦を挙げ、「お互いが勝ちを逃したり、まさか優勝できるとは夢にも思っていなかった」と懐かしんだ。

日本将棋連盟では17年から理事、19年から専務理事を務める。「藤井さんが彗星(すいせい)のごとく現れ、将棋界全体が盛り上がった」と語り、“藤井ブーム”を追い風に、連盟役員として将棋界の発展に尽力してきた。

大阪市出身で高島一岐代九段門下。この日の敗戦で出場棋戦はすべて終了し、47年の現役生活にピリオドを打った。通算成績は661勝754敗(勝率4割6分7厘)。専務理事としては来年6月まで任期を全うする。