岩田望騎手がコンクシェルの気持ちを、うまくコントロールした。勝負どころは3コーナー。そこまで単騎逃げでいいラップを刻んでいたが、外からフィアスプライド、ヒップホップソウルがまくり気味に並びかけ、2番手フィールシンパシーを含めた4頭が横並びに。逃げ馬にとって残り800メートルから動かされるのは厳しいが、あえて並走状態を避け、促しながら前へ出た。

ここでのラップは11秒3。5F→4Fの11秒9から一気に0秒6も上げたことになる。実はこの強気の仕掛けこそ、コンクシェルの集中力を持続させた一番の要因だ。過去の成績を見ても圧勝と惨敗が背中合わせ。つまり能力はあるが機嫌を損ねると走るのをやめてしまう。もし、あそこでかわされていたら、気持ちが切れてしまってもおかしくない。だから、一度もハナは譲らなかった。

もちろん、53キロの軽量も強気に出て行けた理由の一つ。前走の初音S(1着)で感触をつかんでいたのも大きい。ラスト1ハロンは12秒6と時計を要したが、ロングスパートで後続に脚を使わせた分、逆転を許さなかった。スタートから気合をつけて先手を奪い、混戦となった3コーナーでも引かず。馬の気性を考えた強気の攻めが、コンクシェルのポテンシャルを存分に引き出した。(次回公開は25日予定)