ラストランで悲願のG1初制覇へ-。重賞6勝の超人気ホース、メイケイエール(牝6、武英)が、高松宮記念で引退レースを迎える。今回の「ケイバラプソディー ~楽しい競馬~」では、マイクこと藤本真育記者が、同馬を管理する武英智調教師(43)の思いに迫った。

22年、武英師が手にする厩舎に届いたお守りに興味津々のメイケイエール
22年、武英師が手にする厩舎に届いたお守りに興味津々のメイケイエール

メイケイエールは希代のアイドルホースだ。「我々の馬ではなく、もうみんなのメイケイエールですよね」。武英師もその人気ぶりを実感する。そんな愛馬が今回限りで引退。その宣言からファンレターの数が増加し、300通をも超える応援メッセージが厩舎に届いた。「僕にとっても、厩舎にとっても特別な馬です」。そう言った師は、調教に向かう道中のエールを見つめ、心境を吐露した。

武英師 さみしくなります。競走馬としての能力は素晴らしいものがありますが、繊細で、不器用で、力を発揮できないところがある。正直、常に不安な4年間でした。これが最後となりますが、変わらずやれることをしっかりやって、あとは、目いっぱい走ってほしいです。

武英師からファンへ、あるお願いがある。それは「スタートを決めてくれ」と心の中で願うこと。「言霊という概念があるように、僕は『願いは現実化する』と思っています。だから、メイケイエールを応援してくれる方がいるなら、ゲートを決めてくれ、と祈ってほしいです」。デビュー時からゲートを課題に挙げてきた馬。「最初から最後までスタートでしたね。最後になる今回はなんとか」と師は話した。

泣いても笑ってもこれが最後だ。これまで通算19戦7勝。現役最多の重賞6勝を挙げているが、G1勝利はない。20戦目で悲願達成なるか。

武英師 トウカイテイオー、オグリキャップの有馬記念制覇のように、競馬にはドラマがあると僕は思っています。競馬の神様っているんです。僕らは誰ひとり諦めていません。最後の最後までエールの魅力をすべて見せられるように、そして勝てるように。頑張っていきたいです。

ファンからの“エール”を力に変えて。最後のゲートインまであと5日だ。

(ニッカンスポーツ・コム/競馬コラム「ケイバ・ラプソディー ~楽しい競馬~」)