<中日2-0巨人>◇17日◇ナゴヤドーム

 中日に緊急事態が発生した。エース吉見一起投手(27)が巨人戦の4回途中、右肘の違和感を訴えて負傷降板した。試合後に権藤投手コーチは「10日間で治るもんじゃないでしょう」と長期離脱も示唆。きょう18日に登録抹消され、精密検査を受ける。最多勝を争うエースをアクシデントが襲い、10月13日からのクライマックスシリーズ(CS)に暗雲が垂れ込めた。

 超満員のナゴヤドームが騒然とした。アクシデントが発生したのは4回2死二塁。吉見が打者阿部に1球目を投じた直後だった。顔の前で両手を交差させてバツ印をつくり異変を訴えた。投球は珍しく高めに抜けた。ベンチに下がるとマウンドに戻ることなく、4回途中、53球で降板となった。

 故障箇所は投球動作に直結する右肘だった。権藤コーチは「最初から右肘に違和感があったみたい。阿部のところでタイミングが合わずピリっときたみたい」と状況を説明。今後の見通しについて「10日間で治るもんじゃないでしょう。途中で降りてくるということは」と、長期離脱の可能性も示唆した。

 関係者によると試合前から右肘の小指側(内側)に違和感を感じていたという。ただ、投げ方によっては問題なく投げられたため、予定通りに先発。しかし、フォークを投げたときにしびれに似た違和感を感じ、自ら登板続行は不可能と判断したという。

 試合後、吉見は「違和感です。(試合前の)キャッチボールの時からです。迷惑をかけるなら降りようかなと思った。見ての通り(降板までは)投げられてはいたんで」と冷静に話した。今日18日に登録抹消され、精密検査を受ける予定だ。状態次第では、10月13日からのCSファーストステージにも間に合わない可能性もある。

 吉見は社会人トヨタ自動車時代に右肘を手術。10年オフにも2度、右肘にメスを入れている。これを乗り越え、昨季は最多勝と最優秀防御率の投手2冠を勝ち取ったものの、右肘は泣きどころ。選手生命にも関わるため無理することはできない。リーグトップタイの13勝を挙げる右腕がシーズン終盤に思わぬ形で離脱。吉見降板後も無失点リレーで勝ち、巨人の地元胴上げは阻止したが、今後に向けて大きな不安材料ができてしまった。【桝井聡】