北島、世界新連発で日本人初2冠!/競泳
<世界水泳選手権:競泳>◇12日目◇24日◇スペイン・バルセロナ、サンジョルディ体育館特設プールほか◇競泳、男子200メートル平泳ぎ決勝ほか
【バルセロナ=田口潤】やった! ダブル金、ダブル世界記録だ。日本のエース北島康介(20=東京SC)が男子200メートル平泳ぎに圧勝。2分9秒42で、コモルニコフ(ロシア)の持つ2分9秒52を0秒10更新する世界新を樹立した。世界記録で制した100メートルに続く2種目制覇は、94年ローマ大会のロージャ(ハンガリー)以来3大会ぶり3人目。日本選手が五輪、世界選手権を通じて1大会個人2種目での金メダル獲得は史上初の快挙となった。平泳ぎを完全制覇した北島が、来年アテネ五輪の金メダルに限りなく近づいた。
驚異的なスピードは、決勝レースでも変わることはなかった。100メートルのラップこそハンセン(米国)に奪われたが、150メートルでは奪い返した。1分35秒75、世界記録より0秒9も速いペースで折り返すと、ラスト50メートルで2位以下をぐいぐい引き離す。ひとかきごとに「ヘイ、ヘイ」というかけ声がスタンドから飛んだ。競り合うのは世界記録。両手を伸ばすようにゴールすると、タイムを確認して大きく右腕を突き上げた。
五輪、世界選手権を含めても史上4人目の2種目制覇。ライバルのコモルニコフに塗り替えられた世界記録を再び奪い返して、76年ヘンケン(米国)以来、27年ぶりに2種目同時の世界記録保持者となった。「正直うれしい。みんなが応援してくれたから、この記録が出たと思う。世界水泳にかける気持ちが強かったから」と笑顔で話した。
速いピッチでスピード系の100メートル。キックの伸びが重要になる持久系の200メートル。この日の決勝進出者で両種目出場は北島以外ではハンセンのみ。78年同種目世界ランク1位の高橋繁浩氏(42=中京大監督)は「水泳界ではまったく別の種目といわれてきた」と説明する。それでも北島は「ともに結果を出したい」と両種目のトップを目指してきた。
「前半の北島」。強力な足首とキックを持った北島は当初、100メートルの方が得意だった。いかに100、200メートル共通の泳ぎができるか。平井伯昌コーチ(40)らと探ってきた。答えはゆったりとした大きな泳ぎ。1つのかきでより多くの推進力を得るため、一昨年は筋力をつけ、昨年からは筋持久力を高めた。00年シドニー五輪から体重は9キロ、01年福岡大会からは5キロ増えた。この日は1ストロークで最大3メートル以上進んだ。「前後半の北島」の泳ぎは、両種目制覇の大きな要因になった。
100メートルの世界記録と金メダルで、周囲の状況が大きく変わりつつある。それでも北島は変わらない。世界記録の翌日も練習の後、朝9時の予選レースから他の日本選手を応援した。上野広治ヘッドコーチも「おごり高ぶりがまったくない。チームにとって貴重な存在」と話した。プロとして日本チーム、日本水泳界全体を引っ張るという気持ちの表れだった。
日本選手が五輪、世界選手権1大会個人2種目の金メダルは初の快挙。日本水泳連盟も、同連盟初の「ボーナス」を含む何らかの表彰を検討している。「アテネで優位な立場で戦うためにも、ここでどんどん名前を売りたかった。来年につながるレースができた」。ダブル金メダル、ダブル世界記録で、来年アテネ五輪は王者として世界のライバルの挑戦を受ける。
[2003/7/25/09:10 紙面から]
写真=2分9秒42の世界新で金メダルを獲得しガッツポーズで喜ぶ北島(撮影・加藤哉)
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