陸上男子1600メートルリレーでリオデジャネイロ五輪に出場する田村朋也(23)が29日、所属する住友電工の伊丹製作所(兵庫・伊丹市)を訪れた。

 壮行会では約200人の社員から激励を受け「ようやく実感が湧いてきた」とニッコリ。1928年創部の陸上部で初の五輪選手として気持ちを新たにした。

 五輪決定の吉報が届いたのは4日前の25日。ドーピング問題におけるロシアの資格停止で繰り上がり出場が決まった。「出られると思ってやっていたけれど、どうなるか分からなくてモチベーションが難しかった」。今はスッキリとした状態で「日本記録(3分0秒76)を出して決勝に行きたい」と意気込む。

 唯一不安視するのは現地の治安。「応援する人はお金もたくさんかかるし、向こうで何かあるかもしれない。家族にも『次からにしてほしい。もう少し安全なところの時に来て…』と言っています」と苦笑いで明かした。ニュース報道での情報収集も欠かさず、着々と心の準備も進めている。

 名古屋大谷高卒業時には「強いところでやるよりも、地元で強くなって関東を倒したい」と中京大進学を選択。早大で駅伝監督を務め、15年4月から住友電工の指揮を執る渡辺康幸監督(43)も「強くなりたい欲を持っている」と太鼓判を押す23歳だ。初の五輪で世界の強豪相手に立ち向かう。