サッカー男子日本代表が、1次リーグ突破の可能性を残した。初戦ナイジェリア戦を落とし、負ければ敗退だった背水のコロンビア戦で2-2の引き分け。自力通過こそ消滅したものの、10日(日本時間11日)の第3戦スウェーデン戦に望みをつないだ。

 原点回帰の「4-4-2システム」と「攻めの守備」で、日本が息を吹き返した。4-5で敗れた初戦ナイジェリア戦は分析に応じた4-3-3システムで挑んだが、引いて守りすぎたため過去最悪の5失点。コロンビア戦はFW浅野ら先発4人を入れ替え、慣れ親しむ陣形で積極的にボールを奪いにいった。手倉森監督は「負けたら終わり。闘争心を前面に、出し惜しみなく戦う方が日本らしい」と本来の姿を取り戻した。

 初戦で日本の五輪史上最多4ゴールを挙げた攻撃陣は、決定機を外しながらもチャンスはつくった。シュート数16本対8本、ボール支配率55%。その中で一瞬の隙を突かれて先制され、藤春のオウンゴールも重なったが、後半17分に投入した大島と南野がスイッチを入れて追いつき、準々決勝進出への可能性を残した。

 「谷間の世代が、世界で勝ち点1を取ったポジティブな日」と納得した手倉森監督は試合後、今夏の欧州選手権で優勝したポルトガルの話をした。1次リーグを未勝利(3分け)で突破しながら、粘って初優勝した戦いを再現すべく「尻上がりに調子が良くなるドラマチックジャパン」。第3戦スウェーデン戦で引き分けても、ナイジェリアがコロンビアに勝てば史上初の勝ち点2での決勝トーナメント進出が決まる。粘り腰で天命を待つ。【木下淳】