今季からクラブ史上初めてJ2となる清水が、今月12日に始動しました。FW大前元紀(26)やMF本田拓也(30)、昨季限りで契約が切れたMF河井陽介(26)やMF白崎凌兵(22)らも契約を延長し、33選手で動きだしました。

 多くの主力選手が残留した背景には、強化部の地道な努力がありました。オフ期間の選手との契約交渉では伊達倫央新強化部長(49)が熱心にクラブの誠意を伝え、OBの内藤直樹スカウト(47)と山崎光太郎スカウト(37)も積極的に選手と話し合いの場を設け、慰留に全力を注いできました。

 他クラブから獲得オファーが届いた選手には、小林伸二新監督(55)が自ら契約更改の場につき、残留交渉をしています。1年でのJ1復帰を目指すクラブは強化費約13億円を維持したまま、29選手の残留に成功。選手流出を食い止める使命を一丸となって果たしました。

 ここ数年、毎年のように選手が入れ替わり、チームとしての完成度が上がらなかったことも降格の要因の1つだと言えます。監督が変わったとはいえ、今季は昨季とほぼ同じメンバーで戦える。これはチームにとって何よりの強みだといえます。

 チームは始動初日からクラブ初の試みとなる「ミニキャンプ」も行いました。寝食をともにすることで、密にコミュニケーションを取ることが最大の狙いでした。選手の多くは「いい機会だった」「ミーティングができてよかった」などと、手応えを口にしていました。

 清水の今季スローガンは「RESTART NO GUTS、NO WIN」。文字通り、再出発のシーズンです。浦和やG大阪、広島などもJ2降格を経験し、J1優勝を成し遂げるまでのチームに復活した例もあります。93年のJリーグ創設からJ1を死守してきた「オリジナル10」の清水は、今季どんな戦いを見せるのか-。期待を抱きながら取材を続けていきます。

 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年にJ2磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15年から清水。