日本サッカー協会は27日、女子日本代表「なでしこジャパン」の新監督に、U-20(20歳以下)女子代表の高倉麻子監督(48)が就任したと発表した。男女のフル代表で女性監督は初めてで、フル代表とU-20代表を兼務する。東京・JFAハウスで会見に臨んだ高倉新監督は堂々と「目指すのはどの大会でも優勝」と宣言した。最大の目標とする20年東京五輪の金メダルを見据え、常勝軍団を目指していく。

 無数のフラッシュを浴び、濃紺のパンツスーツ姿の高倉監督は照れくさそうな笑みを浮かべて登壇した。テレビカメラ9台、報道陣約80人が集まる中、「よろしくお願いします」と頭を下げた。初陣は6月2、5日の米国代表との国際親善試合アウェー2連戦。佐々木前監督が築いた「パスサッカー」をベースに、さらに上を狙う。自信にあふれた表情で所信表明した。

 高倉監督 積み上げてきたものを磨きつつ、選手をもっと高いところに連れていく。日本人しかできないサッカーを追求したい。W杯、五輪でいい成績を収めるだけでなく、世界の女子サッカーをリードできるようなサッカーをやりたい。

 関係者によると、東京五輪までを前提とした契約。大目標となる舞台で、堂々のV宣言もしてみせた。

 高倉監督 やはり目指すのはどの大会でも優勝。簡単ではないが、全員が全力を尽くし、日々を生きることでつながっていく。

 女子代表11代目にして初の女性監督だが、「女性であるからと引っ掛かるものは1つもない」。15歳で代表入り。女子サッカーが注目されていなかった時代から引っ張ってきた。監督就任の打診を受けた心境を「何もない時代に私自身、必死に戦ってきて、今のなでしこ選手たちが大きな花を咲かせてくれた。バトンが戻ってきたら、受けようと考えていた」と明かした。

 選手選考は横一線の競争だ。「世代交代」が叫ばれるが、若手だからと、優遇することはない。

 高倉監督 その時に一番いいパフォーマンスをする選手を選考するのが基準。ベテランの経験値、若手の伸びしろのアドバンテージも考えながら、うまく融合させていければ。年齢で区切ることはない。

 なでしこの由来は、日本女性の芯の強さやひたむきさ、凜(りん)とした美しさをチームに重ねたもの。それを地で行く新指揮官は終始、笑顔を絶やさなかった。【上田悠太】

 ◆高倉麻子(たかくら・あさこ)1968年(昭43)4月19日、福島県福島市生まれ。読売ベレーザ(現日テレ)、米国のシリコンバレー・レッドデビルズなどでMFとして活躍。89年に日本女子リーグの開幕戦で初代得点者。女子日本代表として第1回の91年、95年W杯出場。国際Aマッチ通算79試合30得点。04年に現役引退し、指導者に。11年に日本協会の最高峰の公認S級ライセンスを取得し、14年のU-17女子W杯では圧倒的な強さで初優勝を飾った。夫は東京V竹本一彦ゼネラルマネジャー。

 ◆なでしこ今後の日程 現時点で発表されているのは、高倉監督の初采配となる6月の米国での国際親善試合2試合のみ。本来はこの後に8月のリオ五輪を見込んでいた。国際サッカー連盟(FIFA)が定めた16年の残る国際Aマッチデーは9月2試合、10月2試合、11月2試合。秋に計6試合を組むことができる。