前日本代表監督のイビチャ・オシム氏(68)のインタビューの2回目をお送りする。

 -現代サッカーでは監督への重圧も大きい

 オシム氏

 今日のサッカーは戦いだ。すべては生き残り闘争だ。カネと戦いだ。残念ながら現実だ。多すぎるプレッシャーに多すぎるストレス。監督も常に重圧の中にあるし、クラブ会長もそうだ。スポンサーもだ。なぜなら、お金を払わなければならないし。しかし、彼らはプレッシャーもかける。会長に重圧をかけ、会長は監督に重圧をかけ、監督は選手に重圧をかける。そうなると、すべてぶちこわしになる。

 -岡田監督のチームづくりについては

 オシム氏

 監督の同僚について話すのは好きではない。どの監督もチームが良くなるように全力で頑張っている。みんな勝ちたいからだ。一部の人は成功し、一部の人は成功しない。自分の方向を持ち、何をやろうとしているのかを分かっていなければならない。サッカーは日本でとても人気がある。環境は良くて、スタジアムもできたばかり。観客も多い。若い選手もたくさんいる。あとは、大きな成功を待っているだけだ。ほかに何を望めるのか。C・ロナウドを買うことはできないのだから。努力していれば、将来われわれにもC・ロナウドが生まれるかもしれない。

 -岡田監督のW杯の目標は4強だが

 オシム氏

 監督がそういうことができると考えているのはポジティブだ。彼がそう思わなければ、選手はどのようにして自分を信じることができるのか。選手が信じず、世間が信じず、監督だけが信じるということは論理的ではない。

 -監督の資質について

 オシム氏

 監督はもっとアイデアを持たなければならないし、もっと自由を与えられなければならない。最初にアイデアがなければならないのは監督なのだから。選手も一定の自由がないと駄目だ。何かに挑戦して素晴らしいゴールを決めたりしたら、いつもしかったりしなくてもいい。監督がいつも選手よりよく知っていると考えるのは間違いだ。選手の方が監督よりアイデアがあることがよくある。でも、日本では選手が監督よりもアイデアがあることは許されない。これは問題だ。個人的に選手からいろいろと学んだ。選手がやっていることを見ているとアイデアがわいてくる。

 -監督をまたやりたいか

 オシム氏

 ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ(せきをするまねを連発する)。監督はストレスが多すぎる。サッカーを見るのはストレスが多すぎる。悪いプレーを見てもどうしようもない。怒らなければならない。それはつらい。でも、すべてが良くなったら、もう1回やってみてもいいかもしれない。わたしはもう1回何かを試してみたい。新しいアイデアで何かを。(共同)