【ドーハ(カタール)12日=栗田成芳】W杯アジア最終予選オマーン戦(14日、マスカット)に臨む日本代表MF本田圭佑(26=CSKAモスクワ)が、気温差40度を乗り越えて中東の壁を打ち破る。前日11日にドーハ入りし、チームに合流した。練習では戦術練習を行い、本職のトップ下に入った。主戦場のロシア・モスクワに比べて、時差こそないものの気温差は40度以上。本田にとって、ホームでは不敗を誇るオマーンとともに、難敵となりそうだ。

 さすがの本田も面食らった。ドーハの空から強い日差しが降り注いだ。この日の最高気温は34度。しかし、日なたでの温度計の数字は午前10時にして40度を超えていた。全体練習を終えてストレッチに入ると、顔をしかめながら1人室内へ。太陽から逃れるようにピッチから離れた。直後にアルベルト・ザッケローニ監督(59)が「ケイスケ!」。攻撃陣を集めての直接指導に呼び戻された。

 北のロシアから、中東へのギャップは激しすぎる。主戦場とするモスクワの11月の平均最低気温はマイナス3度。ドーハとの気温差は40度以上にも上る。生身の人間には過酷を極める。最終予選前半戦は、ホーム3試合とアウェーのオーストラリアの1試合。いずれもロシアとの時差に苦労したが、気温差はなかった。しかも最終予選はこれまですべてナイターだったが、今回は現地時間の午後3時半キックオフ。それでも本田は、中東の太陽を受け止めていた。

 「暑いですね。歩いているだけで汗が出る。でも僕自身は新鮮。暖かい中でやる方が、充実する。日本も暑いですから、味方とも敵ともそういう考えはない。自然にあるものなので、順応しないといけない」

 気温差とともにたちはだかるオマーンは、ホームで底力を見せている。ブラジルW杯予選では、いまだ負けなし6戦無敗を誇る。オーストラリアにも、同3次予選で勝ち同最終予選は無失点に抑えてドローに持ち込んでいる。日本での試合では、本田の左ボレーが決まり、スタートダッシュを切るきっかけとなったが「(3-0で勝った)6月のイメージ通りいくとは思っていない。楽観視はしていない」。それでも「モチベーションは上がりますね。誰も勝ってないなら、僕らが勝ちたい」。不安はおくびにも出さず、ただ不敵に言い放った。

 勝てばW杯チケット王手となる大事な一戦。やはり“指定席”を用意されている。この日、フォーメーションの戦術練習のみ参加。ブラジル戦(10月16日、0●4)でスタートから入ったワントップではなく、最終予選負けなしシステムのトップ下に入った。ザッケローニ監督から直接「引きつけて逆を突け」「どんどん裏を狙え」と声をかけられた攻撃陣の中心に、本田が君臨する。

 ブラジル戦の惨敗から確かにつかんだ手応えとともに、この1カ月は頭を悩ませ過ごしてきた。「練習で意識しながら過ごしてきた。時間はかかるけど、取り組む作業がおもしろい。楽しみながら練習している」。日々の進化は感じているが、目に見えて結果が出るのはまだ先。W杯本大会を見据えて一皮むけるために今がある。その道中に、難敵が立ちふさがろうとも、関係ない。世界の頂点を目指す思いに、温度差はない。

 ◆日本代表と温度差

 06年ドイツW杯に備えて現地入りした日本代表は6月とは思えない気温7度という寒波に見舞われた。一転して猛暑となった初戦オーストラリア戦で終盤にスタミナ切れして逆転を許した要因のひとつとも言われた。ロンドン五輪で4強入りした五輪代表は、2次予選のアウェー、クウェート戦で40度を超える猛暑の中、1-2と逆転負け。「暑いのに汗が出ない」との声が選手から多く出たため、最終予選では汗腺を開かせ新陳代謝を促す目的でグアム合宿を行い、五輪切符を獲得した。