【ノビサド(セルビア)11日=高橋悟史、栗田成芳】日本代表に、ブンデスリーガのスカウト陣から熱い視線が注がれる。セルビア戦の会場カラジョルジェスタジアムには、Bミュンヘン、ドルトムントをはじめとするブンデスリーガ強豪のスカウト陣が集結。FW柿谷曜一朗(23=C大阪)らのプレーに注目だ。

 セルビアの首都ベオグラードから北西へ100キロのノビサド。収容人員1万5000人のスタジアムに、ブンデスリーガのスカウトが集結だ。ドイツからは飛行機で2時間もあればたどり着く場所で、ビッグクラブからの熱視線が注がれた。セルビア協会の関係者は「Bミュンヘン、ドルトムントなど、いくつかのドイツのクラブからスカウトが来ることは聞いている」と明かしていた。セルビア代表の中心に名を連ねるU-21世代の選手は、欧州で別の大会がある。そのため日本との試合には、招集を見送られた。スカウト陣の注目が、日本代表の選手であることは間違いない。

 昨季の欧州チャンピオンズリーグで、Bミュンヘンとドルトムントが決勝に進んだ。持ち味はともに、中盤のハードワークからショートカウンター。守から攻への切り替えを素早く行い、相手が守備陣形を整える前にゴールを奪う。この戦術が、ドイツを中心とした欧州のトレンドになりつつある。

 そこで注目を集めるのがFW柿谷だ。国内組が中心だった東アジア杯で3得点。海外組と融合し3試合で得点はないが、欠かせないピースになりつつある。中盤の選手がボールを奪い切る前に相手DFラインの裏へ走り込む切り替えの速さ。そしてスピードを落とさないトラップの技術をスカウト陣の目の前で披露するチャンスを得た。柿谷はスカウトの注目を浴びることについて「まったく興味ない。日本が勝つためにやるだけ」とチームに貢献することを強調した。

 セルビア代表はW杯出場はならなかった。だがDFラインには、マンチェスターCのコラロフ、チェルシーのイバノビッチらビッグネームがそろっていた。強固なDF陣との戦いが、柿谷の評価を決める。

 ◆ドイツでの日本人選手

 香川ら成功した前例があり、日本人の技術の高さは広く認められてきている。加えて各選手の持ち味と、クラブが求める要素が合致すれば、移籍へと発展する可能性が高まる。香川の場合は、高い技術でゴールへ向かうスタイルと、ドルトムントの縦に速いサッカーがかみ合った。岡崎は前線での運動量とゴールへの姿勢。長谷部は経験と柔軟性。清武はキックと視野の広さなど「技術+アルファ」を示すことが重要になる。柿谷の場合、得点パターンである縦への飛び出しと、超高度なコントロールからのシュートが魅力か。