【ドーハ8日=木下淳】手倉森ジャパンは、蹴る。U-23(23歳以下)日本代表が非公開で同ベトナム代表と対戦し、2-0で勝った。前半にMF豊川雄太(21=岡山)とFWオナイウ阿道(20=千葉)が得点。ともにロングボール攻撃が起点で、従来のボール保持と異なる武器を披露した。チームは、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23アジア選手権(12日開幕)に向けて大会公式ホテルへ移った。

 非公開試合を終えた手倉森監督が思わず口走った。「こんなに蹴る代表、今までないんじゃないか」。ベールに包まれた内容を「まず相手の裏を取ることを最優先に、長いパスを蹴らせた」。選手の証言もロングボールの多用で一致した。

 日本はアジアでパスをつないできた。「どの国も日本はそうだと思っているはず。逆手に取る」。ベトナム戦の前半11分に豊川、同18分にオナイウが挙げた得点も縦に速い仕掛けから。豊川は相手の裏を突く動きが得意で、オナイウは身体能力を生かしてボールを収められる。石垣島合宿でも取り組んでいたロングボール攻撃が形になってきた。

 手倉森監督は「1本のパスで破れれば合理的だし、蹴れて握れるのが世界の流れ」と強調。シリア戦も大きく蹴り、ファキル監督に「DFの後ろにボールを出して裏を取ってきた。かなり疲れさせられ、混乱に陥れられた」。ベトナムの三浦監督にも「日本の印象が変わった」と言わしめた。

 使いこなせれば、従来の保持も織り交ぜたハイブリッド攻撃が完成する。「ちょっと、しゃべりすぎちゃったか」。指揮官の口から情報も自信も漏れてきた。