【アデレード(オーストラリア)=北村泰彦】G大阪MF遠藤保仁(28)がアジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇で「3冠」をつかみ取る。アデレードとの決勝第2戦に向けて10日、チームとともに現地入りし、練習を行った。優勝すれば、大会MVPとアジア連盟(AFC)の年間MVPに輝く可能性が高くなる。チーム、個人のタイトルを総なめにして、アジア最高MFの称号を名実ともに手にする。

 栄冠に向かって突っ走る。遠藤はこの日、香港経由の15時間の長旅でアデレード入りし、試合会場近くの練習場で調整した。第1戦を3-0で勝ったため相手は序盤から攻めてくることが予想されるが「こっちはアウェーでも積極的に攻めて行きたい。その姿勢を崩す必要はない」と言い切った。補欠登録だった00年シドニー五輪以来8年ぶりに訪れた当地で、早くも闘争心を高めた。

 優勝とともにタイトル総なめを狙う。ACLはここまで3得点8アシストで、第2戦終了後に発表される大会MVPの最有力候補。第2戦で得点すればACL4戦連続ゴールとなり、受賞はほぼ確実となる。遠藤も「得点に絡むのが仕事なので、ゴールへの意識を高く持っていきたい」と意欲十分だ。

 さらに、アジア連盟の年間MVPも射程圏内だ。既に最終候補14人が発表されており、日本勢では遠藤と日本代表DF中沢(横浜)が名を連ねている。同連盟の関係者は「ACLで優勝すれば、遠藤が受賞する可能性は高くなる」と説明した。これまでは本人が表彰式(今年は25日、上海)に出席できない場合は受賞できないという暗黙のルールがあったが、クラブ関係者の代理出席が可能かどうかも検討され始めた。

 この日は空港に着くと、遠藤は数人のオーストラリア人からサインをねだられた。ACL決勝はアジアの20カ国以上で中継されており「ENDO」の知名度は日増しに高まっている。「あさって(12日)ですべてが決まる。メンタル面でいい準備をしたい」。極限まで集中力を研ぎ澄まし、その先にある「3冠」の栄誉をつかみとる。