<アジアCL:鹿島3-1ペルシプラ>◇30日◇1次リーグ◇F組◇ジャカルタ

 F組首位の鹿島が、4連勝で1次リーグ突破を決めた。アウェーで最下位ペルシプラに3-1で快勝。出場32チーム中、決勝トーナメント一番乗りとなった。親善試合セルビア戦(4月7日、長居)の日本代表に選ばれたFW興梠慎三(23)が、公式戦6試合ぶりのゴールとなる決勝点を奪取。不振から脱出する手応えをつかむと同時に、チームを勝利に導いた。

 6試合ぶりの心地よいゴールの感触をかみしめた。1-1の前半26分。MF野沢の右からのクロスに反応した興梠が、胸トラップから流れるような動作で右足を振り抜くと、強烈な決勝弾が突き刺さった。「これをきっかけに、また(得点を)取れればいい」とホッとした表情を浮かべた。

 暗いトンネルから、ようやく抜け出した。最後のゴールは6日のリーグ開幕浦和戦。その後は何度も好機を迎えながら、ことごとくシュートを外し続けた。だが、昨季の3カ月半無得点の経験から「状態は悪くないし、そういう時は考えすぎない方がいい」。前向きな気持ちを失わなかったことが、結果につながった。

 父親の死去で急きょ遠征を回避したFWマルキーニョスのために「マルキの分もオレが頑張る」と奮起。24日のホーム、ペルシプラ戦などでハーフタイムの最中にも「興梠コール」を続けたサポーターに「点を取れてないのに、ありがたい」。傷心の仲間、背中を押してくれたサポーターへの思いを込めた一撃だった。

 日本代表のチームメートDF内田も腰の張りを抱えながらフル出場。前半34分にはゴール前のこぼれ球に詰め、だめ押し点を奪った。29日から自身が出演したソニーのテレビCMも放送開始となった「旬の男」は「一番簡単なシュートだった」と笑顔で振り返った。

 この日の勝利で鹿島は出場32チーム中、最速で1次リーグを突破した。興梠にとっては4月7日のセルビア戦に向け再加速を予感させるゴールでもあったが「もっと決めたかった。次につながればいい」と淡々と話した。悲願のアジア制覇達成まで、満足感には浸らない。