川崎Fは日本代表候補合宿に参加したFW大久保嘉人(32)、杉本健勇(22)のアベック弾で鳥栖に競り勝った。取って取られての打ち合いに決着をつけたのは、9試合ぶりに先発の杉本。2-2で迎えた後半38分、FWレナトのFKを頭で押し込み勝ち点3を引き寄せた。

 20日のナビスコ杯では先発起用も結果が出ず、風間監督から厳しい活を入れられた。「自信を持ってしっかりプレーする」と心に秘めピッチに立った。先制点は迷うことなくこぼれ球を左足で振り抜く。自身初のリーグマルチ得点で監督の期待に応えた。

 代表合宿に呼ばれ、練習に取り組む姿勢にも変化が生まれた。チームにいるエース大久保をお手本に、大久保の自主シュート練習に加わるようになった。エースが説くシュートへの積極性も生まれた。「よりレベルアップへの意識が強くなった。自分でも気づかないところで変わった部分があるかもしれない」。

 先輩の大久保もこの日、今季9点目を挙げ勝利に貢献した。後輩の活躍にも、杉本には「自分でキレイにいこうとしすぎ。もっと犠牲心を」とポストプレーで味方にボールがこぼれるようなプレーを要求した。けがで離脱中のFW小林を例に挙げ「悠(小林)だったら5点は取れてる。(杉本が)体を張ったらもっとチームは点が取れる」とはっぱをかけた。エースは次節は累積警告で出場停止。「たまに休むのもいいでしょう」。笑いながら、後輩の成長に大きな期待を寄せていた。【岩田千代巳】