新監督、黒星発進-。J2札幌は前半24分、愛媛に先制され、逃げ切られた。実質1日だけの指導で初采配を迎えた四方田修平監督(42)は、シュート1本だった前半の分析をもとに修正した後半、シュート18本と流れを変えた。チームは8戦勝ちなしとなったが、残る16戦へ、手応えを示す90分になった。8勝11分け7敗の勝ち点35で、順位は9位と変わらなかった。

 変化の兆しは十分、示した。通常、監督は控室にいる試合前練習の時間、四方田監督はピッチに立って約20分間、じっくり選手の動きをチェックした。「できるだけ選手のプレーを見たい。高校生の試合の時もやっているので普通のこと。次も続けていこうと思う」。0-1の敗戦後は、グラウンドに歩み出て、選手1人1人に声をかけ、握手した。残り16戦、チーム一丸で戦うという姿勢を行動で示した。

 98年W杯の岡田ジャパンの分析担当。メンバー選考に、若干の色を出した。唯一チームを見た24日の紅白戦で「動きが良かった」と判断したMF菊岡を、18試合ぶりに先発起用。前節北九州戦で得点した内村を、疲労を考慮して先発から外した。引いてボールを受け、ラストパスを出せる菊岡を入れ、途中出場でもチャンスをつくり出せる内村を、短時間で爆発させるメンバー構成にした。

 前半は無得点、シュート1本と苦しんだが、後半はシュート18本と一気に変わった。スタートから内村が入り、その後もMF神田、終盤には前線のターゲットに元FWのDF上原を投入と、交代3枠は、すべて攻撃の手段に用いた。中盤の運動量を増やすためのボランチ投入が多かったバルバ体制より“点を取りにいく”というメッセージを強く打ち出した。そんな90分を振り返り「ボールは動くけど、相手のスライドが速くて攻撃の糸口がつかめなかった。後は単純にシュートを打つだけでなく、どう崩すかを地道にトレーニングしたい」と課題を挙げた。

 指導が反映されるのは事実上、8月1日京都戦からとなる。「これからけがから復帰する選手もいる。システムは多少変えることも考えたい。守備は安定しているので継続して、出る選手によって配置を変えたりしたい」。8試合勝ちなしの現状は受け止めつつ、より効果的に四方田イズムを注入していく。【永野高輔】