J2札幌は3戦連続のドローに終わった。11試合未勝利で迎えたアウェー熊本戦は、前半22分にMF前貴之(21)のヘディングで先制したが、同33分にFW巻誠一郎(35)のゴールで同点。後半は好機をつくりながらも決めきれず、引き分けた。これで6月14日岐阜戦での勝利を最後に70日勝ちなしで、7、8月の未勝利はクラブ初。8勝14分け8敗でプレーオフ圏6位とは勝ち点9差の12位となった。

 最後までチャンスを作り続けたが、四方田体制初の勝ち点3は、またもお預けとなった。1-1の後半45分、MF上原が左サイドを突破してゴール前にクロス。混戦からのこぼれ球を、MF小野が右足ミドルで狙ったが、相手DFに阻まれ得点は奪えなかった。

 四方田修平監督(42)就任後5試合、いまだ勝利がない。「またもや引き分けという結果に残念。いい流れで試合を進められたが、一瞬、巻君のマークが外れて点を奪われたのは残念。最後までチャンスもあったがゴールが取れず残念」と指揮官。3度「残念」という言葉を繰り返し、会見後は肩を落とし控室に戻っていった。

 12試合勝ちなし。トンネルから抜け出せないものの、教え子2人が、チーム浮上の兆しを示す、貴重な得点を生み出した。前半22分、MF古田の左クロスを、右MFの前貴がファーサイドに走り込み、ヘッドで先制ゴールを挙げた。前貴にとっては札幌では初の得点。四方田体制1号となり「監督にはユースからお世話になっていたので個人としても結果を出したかった。うれしい」と振り返った。

 5戦無得点に終わっていれば、クラブワースト記録。この熊本戦は、ハットトリックした選手に社長から自動車をプレゼントするという約束があった。そこで指揮官は、あえて「3点取ったら車がもらえるからといって、エゴイストにならないよう」と軽いジョークで和ませ、選手を送り出した。指揮官の優しい気配りが功を奏し、わずかではあるが、1ゴールという、変化が表れた。

 あとは勝ち点3。小野は「結果として前回よりチャンスはあった。そういうところで決めていかないと。もっともっと詰めていくこと」と、進化への手応えを口にした。天皇杯でリーグ戦は2週間空く。この5戦でつかんだ収穫を生かし、中断後の巻き返しにつなげる。【永野高輔】