浦和が鹿島との第2ステージ上位対決を制し、年間優勝に向けて前進した。敵地で劣勢になり、90分のリーグ戦ではクラブ史上最多となるシュート27本を浴びた。しかしGK西川周作(29)を中心とした粘り強い守りでしのぎ、相手のミスから決勝点を挙げて勝った。これで残り5試合の時点で、年間勝ち点首位をキープ。加えて終盤戦の勝負どころで露呈してきた勝負弱さを、今年こそ払拭(ふっしょく)できるという手応えを得た。
高ぶりが抑えられなかった。それほど会心のセーブだった。後半34分、鹿島の左CK。西川は至近距離から、鹿島MFカイオのジャンピングボレーシュートを浴びた。全体重が乗った、強烈かつ高速の一撃。空中でエビぞりのような体勢を強いられたが、それでも素晴らしい反応ではじいた。
最大の危機をしのいだ。ほほ笑みが代名詞の守護神は、珍しく感情を爆発させた。思わずボールをホーム側のゴール裏スタンドに蹴り込む。「思わず、ですよ。わざとじゃない」。鹿島サポーターからは、怒号とともに応援旗が投げ込まれた。西村雄主審も駆け寄って注意する。西川は両手を合わせて、スタンドに、主審に全力でわびた。トレードマークの笑顔も手伝い、何とか事なきを得た。
この場面も含め、27本ものシュートを浴びた。西川は「試合後に聞いて、びっくりしました。うちは主導権を握る方が多いので」と振り返った。「でもみんなが体を張ってくれるから、コースも制限されていた」。そう謙遜したが、前半から窮地の自軍をビッグセーブで鼓舞した。
前半からFWダビ、MF金崎らとの1対1で、次々とボールをはじき出した。西川の活躍で劣勢を耐えたチームには、幸運が転がり込んだ。後半27分、鹿島GK曽ケ端がファンブルしたボールを、FW興梠が蹴り込んだ。興梠が「ソガさんと仲良くしておいてよかった」と冗談めかすほどラッキーな決勝点。“クラブ史上最大の苦戦”で、見事勝ち点3をもぎ取った。
試合後、ロッカールームで選手たちは「去年までなら失点して負けていたね」と笑い合った。クラブはここ数年優勝争いを演じながら、終盤の失速を重ねてきた。しかし、今年は残り5試合のこの時点で、例年にない勝負強さを見せている。今年こそ、年間王者になれる-。背番号1の奮戦が、チームにそんな自信をもたらした。【塩畑大輔】
▼浦和がJ1リーグ戦で被シュート27本以上は20年ぶり4度目。過去3試合はいずれも延長戦に突入した試合で、90分試合では今回の27本がクラブ史上最多。また、過去3試合はいずれも敗れており、シュートを27本以上打たれながら勝ったのはクラブ史上初のケース。J1全体では、川崎Fが09年10月7日の鹿島戦で被シュート27本も3-2で勝って以来、6年ぶり5度目(90分試合)。



