年間順位2位の浦和がMF柏木陽介(27)の先制弾など同3位の東京を退けた。10月は前節まで1分け1敗。シーズン最後の3試合で一昨年は3連敗、昨年は1分け2敗と失速した悪夢がよぎる展開だったが、本来の積極的な攻撃サッカーがよみがえった。首位広島と年間勝ち点68で並び残り2試合。続投が決まったミハイロ・ペトロビッチ監督(58)が掲げる攻撃重視のスタイルを貫き、年間1位を目指す。
「信じること」の大事さを再確認させるゴールだった。前半11分。柏木は自陣からDF槙野智章(28)が縦パスを送った瞬間、ゴール前に向かって走った。「槙野から宇賀神という展開は、練習から何度もゴールにつながっていた形。必ず来ると思った」。MF宇賀神の折り返しは、1度は相手GKにはじかれたが、こぼれ球は柏木の目の前に落ちてきた。
落ち着いて押し込み左手人さし指を掲げて喜んだ。司令塔の一撃は呼び水になった。前半のうちにMF武藤、関根が得点し、後半も槙野が加点。ようやく10月初勝利を挙げた。
「信じること」を忘れていた。8月末にリーグ横浜戦で0-4、ナビスコ杯新潟戦で0-5と大敗。9月27日鹿島戦は2-1で勝ったが、クラブ史上最多のシュート27本を浴びた。
ペトロビッチ監督はてこ入れのため、布陣や選手起用で工夫をこらしたが、なかなか奏功しなかった。柏木は「負けちゃいけない、何かを変えないと、と思ってた。年間勝ち点首位を意識しすぎた」と振り返る。積極性が消え、前節のG大阪戦も1-2で落とした。
東京戦のキックオフ直前。柏木らは円陣で「点を取られてもいい。取り返せばいいと思ってプレーしよう」と言い合った。自分たちの攻撃サッカーを信じること。原点に立ち返ったことで、チームには本来の積極性がよみがえった。
柏木には、もうひとつ「信じること」を思い出すきっかけがあった。10月初旬に日本代表に復帰。イラン戦に途中出場した。世界ランクアジア最上位の相手がかける激しいプレスの中でも、柏木のキープ力、パス展開力は光った。
「オレはやれる。自信がついたよ」。チームにも、司令塔にも、自信がよみがえった。そんな浦和から、失速の予兆はかき消えた。次節は攻撃力に定評がある難敵川崎Fだが、柏木は「点の取り合いを望んで、受けて立つ」と言葉に力を込めた。【塩畑大輔】



