なでしこジャパンのGK海堀あゆみ(29=INAC神戸)が15日、現役引退を表明した。所属クラブを通じて「身体のパフォーマンスが以前に比べて上がらなくなり、日々一番のライバルである自分自身に勝てなくなったからです」と引退理由を説明した。

 昨年末の皇后杯優勝後にクラブ側に意思を伝えた。当初、前日14日に発表された日本代表メンバーにも入っており、クラブから翻意を促されたが、意思は固かった。日々、最後までグラウンドに残って練習するストイックな性格で「納得いく状態まで上げられなくなった以上、選手を続けることは信条に反すると考え、決断にいたりました」。関係者は「皇后杯の優勝で満足した部分もあったのでしょう」と話した。

 海堀は長くなでしこジャパンの守護神として活躍。11年W杯ドイツ大会決勝米国戦はPK戦で相手のキックを2本ストップ。決勝戦のMVPに輝いて初優勝の原動力になった。昨年の同カナダ大会準優勝にも貢献した。

 「今後のことは何も決まっていません」としたが、30日に行われるクラブのファン感謝祭は参加する予定。同日は昨季限りで引退した澤穂希さんも来場する。

 ◆海堀(かいほり)あゆみ 1986年(昭61)9月4日、京都府長岡京市生まれ。小学2年で長岡京市第四小スポーツ少年団でサッカーを始める。中学進学と同時に大阪高槻(現なでしこリーグ)の下部組織に入り、主にMFでプレー。京都・乙訓(おとくに)高3年時にGKに転向し、その後トップ昇格する。08年にINAC神戸移籍。なでしこリーグ通算215試合出場。五輪は08年北京、12年ロンドン、W杯も11年ドイツ、15年カナダと2大会ずつ出場。170センチ、64キロ。