J2札幌が大量4発で16年1勝をつかんだ。岐阜を4-0で下した。FW都倉賢(29)が、前半41分までに自身初のハットトリックを達成。札幌の日本人選手では05年清野以来11年ぶりの快記録で勢いづくと、同43分にはFWジュリーニョ(29)の左クロスがオウンゴールを誘発した。敵地で4点差以上の勝利は、06年9月23日湘南戦(6○1)以来10年ぶり。愛媛との次節ホーム開幕戦(13日、札幌ドーム)に向け、弾みとなる勝ち点3になった。

 札幌が開幕黒星の鬱憤(うっぷん)を、ゴールラッシュで吹き飛ばした。主役は昨季チーム得点王の都倉だ。前半22分、MF宮沢のシュートのこぼれ球を右足で押し込むと、同35分には相手ハンドで得たPKを決め追加点。圧巻は3点目だった。

 41分に、自らボールを奪って50メートルドリブル突破。左のジュリーニョに預け、ゴール前に入った。ジュリーニョの左クロスを、逆サイドのDF進藤も転倒しながら足を伸ばし、足裏で中央に折り返した。「最後は進藤があきらめずにつないでくれたおかげ。みんなでつかんだゴール」。プロ12年目、Jリーグ通算70点目、自身初のハットトリックとなるゴールを、豪快な左足ジャンピングボレーでたたき込んだ。

 「開幕戦の悔しい思いを出そうと、みんなが気持ちが入っていた」。2月28日の開幕東京V戦は、合宿で準備したことを、ほとんど実践できないまま、0-1で敗れた。翌29日、熊本市内での練習前、下を向く選手たちに四方田監督がカツを入れた。「この悔しい気持ちを結果で示そう」。続いて沖田コーチが「ボールは、1回落ちた後の跳ね返りや、反発力が力になる。この跳ね返る力を、次の試合にぶつけよう」と鼓舞。選手たちは気持ちを高ぶらせ、岐阜との一戦に臨んでいた。

 スカウティング担当の竹内コーチは、岐阜の開幕戦の映像だけでなく、開幕前の練習試合の映像も取り寄せ、徹底的に特長を分析した。開幕東京V戦は、FWドゥグラスの高さを意識しすぎ、足元のうまさや速さに対応できなかった。岐阜は開幕戦で群馬に0-4で完敗しているが、一切の妥協なく、綿密な準備を整えていた。

 「1勝して札幌に帰れるのは大きい。次はホーム開幕戦。また、気を引き締めて臨みたい」と四方田監督。熊本合宿を打ち上げ、今日7日からは本拠・札幌宮の沢でトレーニングを開始する。「みんなが待つホームで勝ち、この1勝を意味あるものにしたい」と都倉。敵地で4発と勢いづいた。自信を力に、次節は昨季プレーオフ争いで敗れた愛媛を、札幌ドームで迎え撃つ。【永野高輔】