J2札幌が3-1で京都を下し、今季初の連勝とホーム初白星をつかんだ。FW都倉賢(29)が2戦連発、ここ4戦で6発となる2ゴールを挙げ、この試合まで4勝5分け17敗の難敵から5年ぶりの白星をもたらした。開幕5試合で勝ち点を2ケタに乗せたシーズンは、すべてJ1に昇格している。エースがゲンの良いデータを引き寄せ、順位も6位から4位に浮上した。

 都倉の右足が、いきなりドームをゆらした。前半3分、前線のFWジュリーニョがいったん下げたボールを受けたMF堀米が、前方のMF前寛へ強めのパス。これを判断よく前寛がスルーすると、エースが待っていた。利き足ではない右足を振り抜いたシュートは、相手GKの指先をかすめゴールに吸い込まれた。試合を決めた、3点目は落ち着いていた。後半6分、MF福森がペナルティーエリア内で相手ファウルを誘って得たPKを、左足でゴール左スミにキッチリ、コントロールした。

 「先取点が大事だと思っていたので開始3分でゴールが奪えたのはよかった。後半引きしめて臨んだ中での最初の1点(3点目)は(チームに)力を与えてくれた」。四方田修平監督(43)は、試合をつくった都倉の2ゴールを“べた褒め”した。今季ホーム2戦目で本拠地初白星を呼び込んだ背番9は「ホームで勝つチームは、おのずと勝ち点を拾えるチームになる。勝利を積み重ねたい」と思いを込めた。

 直近4戦で6発。ゴールラッシュの理由がある。昨季1年かけて、バルセロナのメッシを模範に速いテンポのシュートに取り組んできた。軸足を地面に置いた瞬間には、蹴り足が後ろに上がっているフォームで、他の選手と比べてタイミングが速くなる。GKが間に合わなかった先制弾が、まさにその成果だった。昨季の得点が左足に偏っていたため、春季キャンプでは右にこだわり、シュートを打ち続けた。「苦手意識なく、ナチュラルに、練習通り打てた」という。

 MF小野は第2節から欠場中。さらにMF宮沢、GK金山らが体調不良で不在だった。この日の先発GKはJ2デビュー戦となった阿波加。3ボランチの3人は20歳を過ぎたばかり…。若い選手のひたむきさを、29歳のエースはゴールという結果に結びつけ、チームの推進力となっている。

 開幕から5試合で3勝1分け1敗での勝ち点10。1勝1分け1敗から盛り返し、スタートダッシュに成功した。過去、札幌は開幕5試合で2ケタ以上の勝ち点を奪うと、翌シーズンは必ずJ1という心強いデータもある。次節は4月3日、アウェー町田戦。「この一体感を持ち続ければ、昇格は現実になる」と都倉は言った。ホームでサポーターの夢をふくらませたエースは、1戦ごとに、輝きを増す。【中島洋尚】

 ◆札幌の対京都 通算5勝5分け17敗(J1で1勝5敗6得点10失点、J2で4勝5分け12敗19得点37失点)となった。白星は11年8月21日2-1(J2、函館)以来5年ぶり、8試合ぶり。3得点以上奪っての白星は、07年8月16日3-2(J2、西京極)以来となる。