浦和が首位川崎Fを「ミシャ・プレス」と落ち着いた試合運びでねじ伏せ、代わりに首位に立った。序盤から攻守の早い切り替えで、ボールを奪われても取り返し続け、大半の時間で相手を敵陣に押し込んだ。後半は攻勢を許す場面もあったが、決定機はつくらせないまま勝ちきった。川崎Fには最近アウェー4戦で11失点し、1分け3敗。今季はリーグトップの18得点の攻撃力を誇る難敵を、文字通り「完封」した。

 試合終了の瞬間。浦和の選手たちは、川崎Fの選手たちの「つぶやき」を聞き逃さなかった。「強いな」。スコアは1-0。しかし失点のピンチは少なく、CKも90分間で1本しか与えなかった。MF柏木は「完全に押し込めた。相手の決定機も1度ちゃうかな」とうなずく。序盤戦のヤマ場とみられた上位対決で、見事に完勝してみせた。

 「ミシャ」ことペトロビッチ監督就任以来、アウェーでは勝ちがない天敵。しかし今回は、アジア王者広州恒大をも押し込んだ「ミシャ・プレス」で立ち合い勝ちした。相手にボールを奪われても、攻守の素早い切り替えから、すぐに再奪取する。相手DFが何とか縦パスを出せても、ことごとくMF阿部がカットし、再び攻撃を開始した。

 得点機を量産すると同時に、相手を自陣ゴールに近づけさせない。GK西川は「今日の試合で、なぜうちがシュートを打たれないのか、分かっていただけたと思います」と胸を張る。2月の合宿から取り組んできた「究極の戦術」が、屈指の攻撃力を誇る川崎Fを相手にしても機能した。

 20日にアウェーでシドニーFCと戦い、スコアレスドローでACL1次リーグ突破を決めたばかり。ハイレベルな真剣勝負と、南北半球をまたいだ往復1万6000キロの遠征で、体力面の不安もささやかれた。

 しかし試合が始まれば、国内最大の難敵を90分間コントロールした。DF槙野は「プレスは運動量が必要なように見えますけど、敵陣の中でボールを奪いきっている分、実は体力の浪費は少ない」と胸を張る。アジアをまたにかけた連戦すら、恐るるに足りず。今の浦和は強い。結果と内容で印象づけた。【塩畑大輔】