道産子最年長の今季1号で厚別100勝! J2札幌は群馬に3-1で勝ち、中断明け初戦を白星で飾った。1-1の後半33分、途中出場のMF石井謙伍(30)が勝ち越しゴール。自身J2リーグ通算300試合の節目を飾り、チームを札幌厚別でのリーグ戦100勝に導いた。31試合で21勝6分け4敗の勝ち点69。自動昇格の対象となる3位C大阪も勝ち、勝ち点差12のままだが、J1へ着実に歩を進めている。

 3度、ボールに食らいついた。1-1の後半33分、MFジュリーニョが相手選手2人をかわして左クロス。右サイドから走り込んだ石井が1度、頭で合わせるも、群馬GK清水にはじかれた。だが、あきらめなかった。「最初のシュートで決めたかったけど。最後は気持ちです」。右太ももで放った2度目のシュートは宙に浮き、もう1度右足を伸ばして、ねじ込んだ。

 大事なリスタート初戦勝利に導く1点に「天皇杯は、ふがいない試合で負けてしまいチームに危機感が芽生えた。苦しい試合の中、最後まで点を取りにいく姿勢が結果につながった」と前を向いた。前半24分、MFマセードが右ふくらはぎを負傷し急きょ交代。“緊急登板”からの大役にも「(8月7日の)清水戦でも(ヘイス負傷で前半32分に)アップなしで出たし、いつでもいける自信があった」と平然と振り返った。

 自身のJ2通算300試合が厚別100勝につながった。「厚別は小さい頃からの思い出の場所です」。石狩花川南小6年の98年、厚別での試合を観戦し偶然、ベンチ外でスタンドにいたDFペレイラに遭遇、サインをもらった。札幌選手との接触に感激した思い出の夏休みから18年、今度は自らピッチに立ち、節目勝利の立役者になった。

 昨季は5月に左内転筋痛、今季は3月に右ふくらはぎ肉離れと、筋肉系のケガでリーグ序盤に離脱した。今年で30歳になり「年齢を感じてケアにこだわるようになった」と言う。中断期間に与えられた8月28、29日の連休は2泊3日で韓国に渡った。疲労回復と新陳代謝を上げる効果があるといわれる岩盤浴「チムジルバン」を体験。肉体管理に対する貪欲な姿勢が、8年連続得点につながった。

 残り11戦。昇格の可能性はさらに高まったが「先は見ない。目の前の試合に100%で臨むだけ」と油断はない。メモリアル勝利を皮切りに、さらに気を締め、目標到達への速度を上げていく。【永野高輔】