川崎Fの風間八宏監督(54)が今季限りで退任することが11日、明らかになった。風間監督は12年4月から、相馬直樹前監督の後任として就任。今季が契約の最終年だった。チームは現在、年間勝ち点2位で既にチャンピオンシップ(CS)出場を決めているが、クラブと来季に向けての話し合いをする中で、風間監督が「5年やっているので一区切りにしてリセットしたい」と申し入れた。クラブも了承しこの日までに来季の契約を結ばないことを決めた。

 風間監督は川崎Fで初めてプロクラブを率いた。就任直後から「蹴る」「止める」の基本、トラップから蹴るまでの時間短縮など技術向上に重きを置いた。パススピードは年々磨きがかかり、J屈指の攻撃的スタイルを構築。今季は前線から激しくプレスをかけて敵陣で試合を進める「攻守一体」を浸透させ、年間勝ち点首位の浦和と勝ち点1差につけ、クラブ史上初のタイトルに近づいている。この日の練習で風間監督から選手たちに退任の意向が伝えられた。

 クラブは4年前から下部組織でも、トップと同じ「蹴る止める」の基本を徹底させパスサッカーを貫いている。すべてのカテゴリーで一貫した礎が築かれ、クラブ首脳は「攻撃的なサッカーはフロンターレの代名詞になった。風間監督が残してくれた財産」とその貢献に感謝した。後任に関しては、クラブ内外を含め、攻撃スタイルを継続できる人材を念頭に候補を絞り込むという。

 ◆風間八宏(かざま・やひろ)1961年(昭36)10月16日、静岡市生まれ。清水商時代に脚光を浴び、79年の世界ユース選手権に出場。筑波大で日本代表入り。卒業後にドイツの2部や3部のクラブでプレー。89年に帰国しマツダに入団し、92年のJリーグ発足に伴い広島でプレー。93年の第1Sで「J日本人第1号ゴール」を決めた。97年に引退。同年から04年まで桐蔭横浜大、08年から筑波大を指揮し、12年4月に川崎F監督に就任。家族は夫人と2男2女。