J2清水があらためて1年前の悔しさを胸に刻み、明日16日のアウェー金沢戦に臨む。金沢戦の翌日となる17日はチーム、サポーターにとって特別な「1日」。昨年の10月17日は仙台に敗れ、クラブ史上初のJ2降格が決定した日だ。屈辱にまみれた黒星から約1年。今年は自動昇格(2位以内)のために負けられない一戦を迎える。

 14日、静岡市内で完全非公開練習に臨んだFW大前元紀主将(26)は「今年は勝つ試合が増えて自信がついた。まだ7試合。勝っていけば何かが起こる」と目の前の一戦に集中した。サポーターの思いも選手と同じ。今年は2月の開幕戦から全試合で「10・17」と書かれた横断幕を掲げている。クラブにとって10月17日は忘れてはいけない日となった。昨年はケガでシーズン終盤を棒に振ったMF村田和哉(28)も「20年先も忘れることはないと思う。あの悔しさを今年は生かせている」と口にした。

 現在、清水は4位で自動昇格を争う2位松本とは勝ち点5差がある。対する金沢は現在21位でJ3降格の危機にある。清水にとって絶対に負けられない一戦だが、相手も置かれた状況が似ている。小林伸二監督(56)は「メンタルが左右するゲーム」と分析した。

 FW大前も「目標は違うけれど、目指すものは似ている。相手が下位チームというモチベーションでやったら勝てない」と表情を引き締めた。悪夢の敗戦から1年。今年は歓喜の勝利で昇格への道を切り開く。【神谷亮磨】