浦和がFW興梠慎三(30)のJ1通算100得点目で新潟に2-1で競り勝ち、年間勝ち点1位に王手をかけた。先制点となった前半7分の同99点目に続き、後半終了間際に決勝弾。司令塔MF柏木を負傷で欠くなど、優勝したルヴァン杯決勝のダメージが残る苦境のチームに、貴重な勝ち点3をもたらした。浦和はこれで公式戦10連勝。川崎Fが広島に2-0で勝ったため、第2ステージ(S)優勝決定は持ち越しになったが、次節に同優勝と年間勝ち点1位が同時に決まる可能性が出てきた。

 今季の浦和の強さを、エースが体現した。後半終了間際。興梠は左からのグラウンダーのクロスに、DFを制して飛び込み、しぶとくゴールに押し込んだ。

 「こういう大事な試合で決めるのがFWの役目。自分ではエースだとは思わないけど、そう言ってくれる人もいる。その恩返し」

 1週間前のルヴァン杯決勝で120分を戦ったチームには、心身の疲労の影が見えた。逆にJ1残留へ負けられない新潟は、90分を通し強い圧力をかけてきた。先制後、パスミスから同点に追いつかれるなど、流れも悪かった。

 例年なら引き分け、あるいは逆転負けのパターン。しかし迫るDFを巧みに制し、シュートを決めた興梠のように、チームも圧力を受け流して最後に勝った。横綱相撲。公式戦の連勝はついに「10」に達した。

 決勝弾は興梠にとってJ1通算100得点目。「自分はまとめ取りできるタイプじゃない。1試合1得点を目標にやってきた。それで100点に達したことを誇りに思う」。シャイな男が、珍しく胸を張る。

 大久保、佐藤寿、中山、カズ。「100ゴール超リスト」には名選手が名を連ねる。興梠は「そこに名前が刻まれるのはうれしい」と素直に喜ぶ。そして「尊敬する柳沢さんの108ゴールを抜きたい」と次なる個人的な目標を掲げた。

 第2S優勝決定はお預けになったが、鹿島で3大タイトル10冠の興梠は「年間勝ち点1位の方を大事に思っている」。残り2戦を連勝して歴代最多の勝ち点76を稼ぎ、最強を証明することを重視した。

 「チャンピオンシップで年間優勝を決める点を決められれば、今までの100得点よりも、それが一番の思い出のゴールになる。今のチームは1点取られても、2点目を許さない強さがある。一昨年、去年とは違う。今年はすごい。優勝する気しかしない」。にじませた自信が、メモリアルゴールの余韻にまさった。【塩畑大輔】

 ▼J1通算100得点 浦和FW興梠慎三(30)が、22日の新潟戦(デンカS)で2得点を決めて達成。史上12人目。初得点は鹿島時代の07年6月9日の大分戦。出場310試合目での大台到達は、MF藤田俊哉の404試合目に次いで2番目に遅く、FWとしては最も遅い。9日のルヴァン杯東京戦で自身初となるハットトリックを達成したが、J1リーグ戦では1度もなく、1試合2得点はこの日が14度目。1試合複数得点の回数は歴代25位タイとなる。1戦1発が72試合。

 ◆浦和の次節第2S優勝決定条件 浦和は次節29日の磐田戦に○か△なら無条件で優勝。●でも川崎Fが同日の鹿島戦に△か●で優勝となる。

 ◆浦和の次節年間勝ち点1位決定条件 浦和○、川崎F●で、チャンピオンシップ決勝へシードされる年間勝ち点1位が決まる。