クラブ世界一を決める「FIFAクラブワールドカップ(W杯)2016」は今日8日、開幕する。開催国枠で初出場するJリーグ王者の鹿島は、開幕戦でオセアニア代表のオークランド(ニュージーランド)と対戦。海外志向の強いMF柴崎岳(24)にとって、世界の強豪と対戦できる念願の舞台。欧州王者Rマドリード(スペイン)の進出が有力な決勝に、アジア勢として初進出を目標に掲げた。7日は会場の日産スタジアムで最終調整した。

 柴崎は練習始めのランニングで、表情を引き締めて先頭を走った。パス練習では一転、芝生の感触を楽しむかのような笑顔。公式会見では「試合序盤からアグレッシブなサッカーを展開したい」とチームを代表して語った。年間優勝を決めた翌日も、試合に出場した選手で唯一、休日返上で練習した。「フワフワした気持ちが出たが心と頭の切り替えはできた。より集中して勝ちたい」。胸の高鳴りが言葉と態度ににじんだ。

 常に強豪との対戦を待ち望んできた。ジーコ、ビスマルク、本山らがつけた「背番号10」を継承した今季、7年ぶりのリーグ制覇で得たクラブW杯の出場権。だが、10月に右足を負傷し、リーグ戦終盤からチャンピオンシップ(CS)準決勝川崎F戦まで離脱した責任も痛感。仲間のおかげでかなった舞台でもある。「クラブの伝統的に、結束して戦ってきた。選手が替わっても本質は変わらない。その強みを見せたい」。感謝の気持ちは、自身のプレーで伝えるつもりだ。

 海外移籍の希望もあるが、今はクラブW杯と天皇杯で結果を求めることしか考えていない。14年にはセリエAパルマ、15年にはドイツ1部ハンブルガーSV、フランクフルトなどが獲得に動いたが、正式オファーは届かなかった。関係者によると、現在はスペイン2部クラブなどが興味を示している。シーズン前に「鹿島を優勝させてから海外に行く」と決意した通り、年間王者に輝いた直後、すでに次も目標も掲げた。

 「すごい相手との試合ができる機会はなかなかない。クラブW杯は貴重な体験になる。どれだけ通用するかも興味がある。広島さんが去年3位でしたので、それ以上を目指したい」

 今大会で決勝進出を果たし「SHIBASAKI」の名を世界にとどろかせる。【鎌田直秀】

 ◆クラブW杯 国際サッカー連盟(FIFA)主催のクラブ世界一決定戦。00年ブラジルで始まり、一時中断後、05年に日本で再スタート。今年で13回目。欧州、南米など6大陸王者と開催国リーグ覇者の7チームがトーナメント形式で争う。