INAC神戸が2年連続6度目の優勝を飾った。昨年度と同じ新潟との決勝は延長戦を終えて0-0。PK戦は、第2GKの武仲麗依(24)が2人を止め、連覇に導いた。チームとしては大黒柱だった澤穂希さんが引退後、初めてのタイトルを手に入れた。

 0-0で迎えたPK戦。準決勝で負傷したINAC神戸の守護神・福元の代役としてゴールマウスに立ったのは「大舞台の経験はない」武仲だった。新潟の1人目を右に跳んで止めると、7人目も正面にきたシュートを両手ではじいた。優勝の立役者は「実感はないけれど、みんなでタイトルをとれてうれしい」と笑った。

 澤さんが昨季限りで引退。長年にわたりチームと女子サッカー界をけん引した偉大な選手が抜けて迎える初めてのシーズンだった。なでしこリーグ、カップ戦と無冠に終わって苦しんだものの、皇后杯でタイトルをつかむまでに成長した。

 主将のFW高瀬は「正直、澤さんがいなくなり力不足を感じていた。でも1人1人がしっかりやろうという気持ちが高まった分、良いチームが作れた」。松田監督は「澤に引っ張られていたのは間違いないが、彼女に引き出されていた力に気付いたからこそ自立していった」と目を細めた。

 福元のグローブで試合に臨んだ武仲は「みんなの思いと責任を背負って戦った」と胸を張る。3戦連続延長戦で決勝は中1日という厳しい日程を戦い抜き、銀色のトロフィーを笑顔で持ち帰った。【成田光季】