アルビレックス新潟の17年シーズンは、アウェーで貴重な勝ち点1をゲットして開幕した。12年5月を最後に白星がないサンフレッチェ広島戦は0-1の後半26分、途中出場のFW田中達也(34)が同点ゴールを決めた。同37分にDF矢野貴章(32)がこの試合2枚目の警告で退場して数的不利になっても、粘り強い守りでしのいだ。1-1で引き分け、リーグ戦では広島から3年ぶりの勝ち点を挙げた。

 アウェー側観客席に陣取った約800人の新潟サポーターが、この日最大の歓声を上げた。それに包まれるように、FW田中が右手人さし指を突き上げた。「弾道を見て入ったと思った」。自身にとって昨年の第1ステージ第9節甲府戦以来となる同点ゴールで、今季のチーム初得点が勝ち点1につながった。

 後半13分、MF成岡翔(32)に代わって出場。「まだ30分以上時間があった。ガンガンいくことしか考えていなかった」。三浦文丈監督(46)が就任以来掲げてきた「攻守にアグレッシブ」なスタイル。それを34歳のベテランが率先して表現し、チームを鼓舞した。

 「みんなが頑張ってくれたから、自分のところに転がってきた」。田中が言うように90分間、チームの団結力が弱まることはなかった。後半37分に相手ボールを奪いにいった矢野が、この日2度目の警告で退場。反撃に移りたい時間帯どころか、相手に勢いを与える流れになりかけた。

 それでも守り切った。三浦監督が「人数が少なくなったので、割り切って勝ち点1を取りに行った」と振り返ったように、5-3-1で守備陣を手厚くした。新主将のDF大野和成(27)DF富沢清太郎(34)を中心に、人数を配してゴール前で体を張った。

 アグレッシブに粘り強く-。新潟らしさを象徴する内容で勝ち点1を手にした。MF小泉慶(21)は「勝ち点3を取れた試合だった」と悔しがりながらも、「昨年ならやられていたかもしれない。全員が一致団結していた」と一体感に胸を張った。昨季から続く連敗を3で止め、次節の神戸戦(3月4日・ノエビアスタジアム)で初勝利の手ごたえをつかんだ。【斎藤慎一郎】