25年目のJリーグが開幕し、3年ぶりJ1に復帰したセレッソ大阪が堅守でドローに持ち込んだ。本拠でのジュビロ磐田戦は0-0の引き分け。元日本代表MF中村俊輔(38)擁する相手を無失点に封じ、尹晶煥監督(44)は課題だった守備に合格点を与えた。故障欠場したMF清武弘嗣(27)が復帰すれば攻守のバランスは万全となる。今季は3年ぶりに1シーズン制に戻り、英動画配信大手と結んだ10年間で約2100億円の大型契約により、優勝賞金は1億円から3億円に増額となる。

 待ちに待った舞台だ。3万3208人の大観衆で埋まった本拠地ヤンマーで、堅守のC大阪がお披露目された。3年ぶりのJ1で白星こそ逃したが、磐田を完封。就任1年目の尹晶煥監督は満足げに言い放った。

 「よく頑張って走り続けてくれた。我々は守備の安定を求めている。攻撃面で足りないところはあったが、そこは修正する。これからはもっと自信を持って、伸び伸びできると思う」

 被シュートはわずか7本。柿谷、杉本の2トップが前線から献身的に中村俊へのパスコースを消し、日本代表MF山口がボールを奪い取った。危ない場面はほとんどなし。昨季J2で42試合46失点だった守備が改善されていた。

 試合後、着替えを済ませてバスに乗り込もうとする選手を、指揮官はロッカー室に戻した。収穫と課題を即座に指摘し、早くも次節浦和戦に目を向けた。前半ロスタイムに、DF松田の右クロスから決定機を作った杉本は「終わってすぐにみんなで話をした。今まではなかったこと」と手応えをつかんだ。

 新加入のMF水沼が右太もも付近を負傷して交代し、長期離脱の可能性が出てきた。一方で右太もも裏違和感で欠場したMF清武が、早ければ次節浦和戦で復帰するかもしれない。山口は「監督から『個人よりもチーム。犠牲心を持ってやれ』と言われている。今までのセレッソとは違う、粘り強さを見せることができた」。

 過去にプレーオフを突破してJ1に昇格した大分、徳島、山形、福岡はいずれも開幕戦で敗れ、最下位でJ2へ降格した。C大阪はこの日、昇格組で唯一の勝ち点を得た。山口、柿谷ら茶髪の選手が次々と髪を黒に染め、この日は杉本まで黒髪で登場。派手さはない。だが新生C大阪は、勤勉で、確実に勝ち点を積み重ねるチームに生まれ変わろうとしている。【益子浩一】