浦和レッズのMF柏木陽介(29)が、全3得点に絡んで首位を走っていたヴィッセル神戸の開幕からの連勝を4で止めた。後半16分に得意の左足で先制点を挙げ、3分後にCKで遠藤の追加点をアシスト。2-1の終了間際には左クロスを右足で決めて3-1の勝利に導いた。浦和のリーグ戦でのアウェー神戸戦の白星は07年8月以来。今季やや出遅れていた神戸出身の司令塔の完全復活で「鬼門」を突破した。

 柏木が躍動した。後半16分、ゴール前でFW興梠のヒールパスを受けると、2度の切り返しで4人のDFを振り切ってゴール左隅へ蹴り込んだ。3分後に左CKで遠藤の追加点を演出。後半ロスタイムにはカウンターからMF宇賀神の左クロスを右足ダイレクトでたたき込んだ。母清美さん、妻渚さんらも見守った中で見せた柏木劇場。試合後には前日3月31日に渚さんの祖母が亡くなったと明かし、「奥さんのおばあちゃんにもいいゴールをささげられたかな」と安堵(あんど)した。

 シーズン前のキャンプで左太ももの付け根を痛め、今季の公式戦9戦のうち5試合でベンチを外れていた。出場した3試合は勝てていなかった。0-0の後半14分、選手交代に伴いボランチから2列目に位置を変えてゴールに近づくと、すかさず2分後、5分後と得点に絡んだ。「(チームの出来が)悪い中でもチャンスを作れたのは良かった」と謙虚に振り返った。

 12月には30歳になる。「サッカーがより楽しく感じている」と言う。16年3月に結婚した渚さんのおかげで日々の食事が改善され、自然とお酒を飲む機会も減った。「痩せて走れるようになって、しんどいのも楽しいと思えている」。昨季からは家と練習前にヨガを取り入れ、より柔軟でキレのある体を作った。

 だが、「いい準備ができている」と語った矢先にケガをした。チームがACLで遠征中には黙々と練習場を走った。「俺が一番悔しかった。でも、みんながいいプレーをしていることが刺激になった」。笑顔でたまに冗談も飛ばし、胸に押しとどめてきた悔しさを生まれ育った神戸で力に変えた。結果を残し続けることで、昨年11月から招集がない日本代表も見えてくる。勝利の笛とともに両手を突き上げてガッツポーズ。浦和の11年ぶりのリーグ優勝に不可欠な背番号10が、力強く復活した。【岡崎悠利】