ベガルタ仙台はアウェーでサンフレッチェ広島に3-3で引き分けた。後半、立て続けに2失点した直後に3点を奪って逆転。しかし勝利目前のロスタイム5分に失点し、リーグ戦4試合ぶりの勝利を逃した。

 わずか8分で、ひっくり返した。7試合で4得点のチームが、あっという間に3点を奪った。FW石原直樹(32)は「0-2になってから積極的になれた」。後半23分。2年ぶりのゴールとなった途中出場のMF梁勇基(35)の1点目が生まれると、勢いは加速。同28分、MF三田啓貴(26)の直接FKで同点。そして梁が「点を取ってから、前に人数をかけられるようになった」と言う通り、同31分には最終ラインのDF増嶋竜也(32)がボックス内からクロスを放ち、反応した石原がヘッドで決めた。

 勝利が目前になると、敵地に「ベガルタ仙台」コールが響く。だが徐々に仙台の試合運びが雑になった。ボールを奪っても、収めずに敵陣の方に放り込むだけ。三田は「マイボールにして、キープする時間をつくらないと」と振り返った。

 そして悪夢が訪れた。ロスタイム4分、混戦から放った相手のシュートは高く浮いた。これをGKシュミット・ダニエル(25)がしっかりキャッチ。勝利を確信したのか、仙台イレブンの足が一瞬、止まった。そこから簡単に前線に攻め込まれ、許したクロスへの処理は、お粗末だった。悔恨の同点弾は、そこから生まれた。

 石原は「チームとして、どう(試合を)締めるのか」と問う。悔しい引き分けだが、手応え、収穫があったのも事実。久しぶりに、見せ場をつくった試合なのは間違いない。試合後のサポーターからは温かい拍手が、自然にわき起こっていた。【秋吉裕介】