太陽の国ブラジル出身ストライカーが、立ち込めた暗雲を引き裂く同点弾を決めた。ベガルタ仙台はFWクリスラン(25)が1点ビハインドの後半ロスタイムにゴールを決め、ホームで柏レイソルに1-1で引き分けた。序盤の失点が重くのしかかり、1位突破王手はおろか、プレーオフ進出にすら黄色信号がともりかけたが、勝ち点1を獲得して暫定首位をキープした。

 リーグカップ戦で初めて柏に敗戦濃厚となった後半ロスタイム4分。DF永戸が「ラストプレーだと思って」と送ったグラウンダーのクロスからFW西村がシュート。相手DFに当たってこぼれたボールにクリスランが反応。左足で豪快に突き刺した。試合後、報道陣に囲まれると「まだ正直感動してはっきり覚えていない」と興奮を抑えきれていなかった。

 ホームゲームには、母アントニア・マリアさんと婚約者のブレンダさん(19)が観戦に駆けつける。この日も2人は応援に来たが、ビザの関係で6月7日に帰国予定。「ゴールを彼女たちにささげたい」と意欲的。現在は彼女たちの手料理を好むが「ブラジルの鶏肉料理をつくれる」と自炊に自信を示していて、今後も私生活は問題なさそうだ。

 渡辺監督は「(クロスの入り方を)整理する前に決めてますから、もっと量産できる」と期待を込めた助っ人の活躍で、土壇場での底力をホームで見せた。「最後の粘りで追い付いたのは大きいこと」と語ったように、勢いそのまま、24日札幌戦に挑むことができそうだ。【秋吉裕介】