<J1:浦和4-0京都>◇第8節◇26日◇西京極

 眠れる大砲が目覚めた。浦和FW高原直泰(28)が待望の移籍初ゴールで復活を証明した。26日のアウェー京都戦に先発出場。0-0で迎えた後半12分、右足で振り抜き、07年10月20日のニュルンベルク戦以来、189日ぶりの公式戦ゴールを決めた。同30分にも2点目を決め、チームの1分けを挟んだ5連勝に貢献した。

 大歓声で沸いた真っ赤なスタンドに向かって、真っ先に駆け寄った。得点奪取の余韻に浸ることなく、高原が深々と頭を下げた。「ゴールを期待してくれていたし、チームにも迷惑をかけた。ようやく仕事ができた」。07年10月20日のニュルンベルク戦以来189日ぶり、Jでは02年11月30日の名古屋戦以来1974日ぶりの一発。「長いと言ったら長い」不調から抜けた武骨な男が、やっと笑顔を取り戻した。

 渦巻くモヤモヤ感を強引なシュートで吹き飛ばした。後半12分、永井のスルーパスに反応し、飛び出す相手GKと交錯しても倒れない。ゴール前をさえぎる敵DF2人も無視。思い切り右足を振り抜いた。同30分には梅崎のCKを右足で合わせて2点目。「得点がないと、自分で思っていなくても体が迷う。点を取ることで吹っ切れるのはよくある」。日本代表の岡田監督が視察した一戦で、躍動感十分の輝きを放った。

 悔しさを無駄にしなかった。右ひざ故障で代表辞退した21日、母静子さんが勧めた静岡・沼津市内の治療院に直行。慢性的な痛みが続く右ひざの負担を軽減するバランス矯正治療を受けた。都内にある行きつけの鍼灸(しんきゅう)院にも通った。徹底的な体のケアで「急に調子が良くなった」。3月8日の横浜戦以来となるフル出場にも、患部に痛みはなかった。

 高原

 本当に苦労はたくさんあった。周りが心配してしまい、自分に気を使われるのが嫌でした。ようやくスタート地点に立った。これから浦和でどれだけ結果を出すかが大事だし、その方が大変だと思う。

 チームバスに乗り込む際、待ち構えた大勢のファンから次々と激励された。オレこそが日本最強FW-。自信たっぷりに左手を挙げて応えた高原には、優勝請負人の風格が漂っていた。【藤中栄二】