<J1:柏4-0大宮>◇第28節◇4日◇NACK

 柏DF村上佑介(24)が、デビュー戦ハットトリックで10戦勝ちなしのチームを救った。柏が大宮を4-0で破り、勝ち点36の10位に浮上し、残留争いから抜け出た。村上は前半10分と14分にセットプレーから頭で連続得点し、同44分には右足ループシュートで3点目を入れた。デビュー戦ハットは、93年J開幕戦の名古屋戦(5月16日)で鹿島FWジーコが記録して以来、5620日ぶりの快挙だ。

 スタンディングオべーションが心地よかった。デビュー戦3得点の離れ業をやってのけた村上が、テレビインタビュー後、約5分遅れでサポーター席へあいさつに走った。客席を半周しながら「村上コール」に酔いしれる。息子の晴れ舞台を祝いに駆けつけた両親はスタンドで涙、涙。あいさつを終えた仲間もメーンスタンド前に整列し、拍手で新星を迎え入れた。

 「セットで1点狙っていたけど正直、自分が一番驚いています。出来すぎです」。前半10分、右CKからFWフランサが頭で折り返したボールに反応。波戸に競り勝ち、プロ入り初ゴールを頭でたたいた。4分後にはMFアレックスの右CKを波戸、レアンドロと競りながらまたも頭でゲット。同終了間際にはカウンターから100メートル10秒台の俊足を飛ばし、右足ループで、ジーコの記録に並んだ。

 「サッカーを続けてよかった。拾ってくれた順大の吉村先生に感謝します」。国士舘高から国士舘大に進学したが、人間関係に疲れたこともあり、サッカー部には所属しなかった。「辞めようと思ったけど好きだったから、草サッカーは続けよう」と入学直後、クラブチームの府ロクファミリー(都2部)で、サッカーを楽しんだ。体育教師を夢見てボールを追ううちに再び熱い思いが募り、順大に入り直し、再挑戦した。

 大宮DF波戸に似ていることから「ハトさん」と呼ばれる。この日、その波戸に初めて会い「本当に似てますね。ビックリしました」と笑った。この日はその波戸に競り勝って頭で2点を入れ「ハト対決」で本家を圧倒した。

 Jデビューのプレッシャーで、試合前に仲間から「顔が怖いよ」とからかわれ苦笑いしたが、90分後にはその仲間たちに感謝された。開通初日にチームを勝ちなし地獄から救った「柏特急ハト号」が、今後はチームを連勝街道にけん引する。【盧載鎭】