J1残留へ、キーマンが戻ってきた!

 磐田は7日、静岡産大と練習試合を実施。5日の札幌戦先発メンバー以外で臨み、腰痛で長期離脱していた西紀寛(28)が101日ぶりに実戦復帰した。右サイドバック(SB)で先発すると、果敢に攻め上がり好クロスを連発。後半はバテたものの、65分間のプレーで鋭い切れ味を見せた。まだ試合感覚を確かめている段階だが、早期出場への1歩を踏み出した。

 見慣れない場所に、西はいた。敵陣より自陣に近い右SB。そこが攻撃的な男に与えられた位置だった。「そこにいれば走りますから。感覚を戻すため、できるだけ長い距離を走らせたかった」とオフト監督。思惑通り、西は駆け上がった。前半7、11分には右サイドをえぐりFW万代、カレンの決定機を演出。自陣から正確なパスも送った。MF名波には「よく動いたね」と、たたえられた。

 「走ったよ!

 (距離が)長い長い。サイドはしんどいよ。でも、ミスは多かったけど楽しくやった。最後は腰が回らなかったけどね」。へばって、予定より早い後半20分に退いた。それも動き回ったからこそ。「出られる、出られないは気にしない。ポジションも気にしない。今はサッカーをやっているよ」。独特の言い回しで、101日ぶりの実戦復帰を喜んだ。

 不安に打ち勝った。6月28日の横浜戦。前半25分すぎにボールを奪われた際、ピッチに崩れた。椎間板(ついかんばん)を痛め、体もかがめられない。「普通の痛みじゃない。生活できるレベルまでこないと先が見えない」とまで言った。それを、ホンダFCの弟望実(のぞみ)ら周囲の助けもあって、やっと実戦にたどりついた。

 痛みは残る。疲れが出れば張ってくる。それでも、J1残留を目指すチームのために決意した。「とりあえずやるよ。耐えるよ。しがみついてでも、やる」。18日G大阪戦での復帰は難しい。でも、西はもうじき帰ってくる。【今村健人】