<プレシーズンマッチ:札幌2-1東京>◇22日◇沖縄・北谷公園陸上競技場

 南米トリオはOK! コンサドーレ札幌はJ1東京とプレシーズンマッチを行い、MFダニルソン(22)の2ゴールで逆転勝利を挙げた。FWキリノ(24)も15日ぶりに実戦復帰。MFクライトン(31)と外国人3人が実戦で初めてそろい踏みし、攻撃力の高さを見せつけた。開幕前のJクラブとの実戦は東京戦が最後で、3月8日の開幕仙台戦(札幌ドーム)まで残り2週間で完成形に仕上げていく。

 札幌の核となるトリプル砲が本領を発揮した。この日、最もアピールしたのは「キャノン砲」ダニルソンだ。0-1で迎えた後半2分、クライトンからキリノとヘディングでつないだボールがピッチ中央にこぼれる。ゴールまで25メートル。ダニルソンの長い左足が振り抜かれると、東京GK権田が1歩も動けず、ボールがゴール左へと吸い込まれた。

 脅威のシュートは1発では終わらない。同14分には中央からのFKをゴール右隅に狙い、GKの両手をはじき飛ばし、2点目を挙げた。ゴールまでの20メートルの間に浮き上がってくる“弾丸FK”。ダニルソンは「中距離のシュートはコロンビア時代から好き。自分の一番の武器」と自信の表情だ。

 「ミサイル」キリノも縦への速さを生かし突進した。相手バックパスを奪うトリッキーなプレーや、クライトンからの縦パスに積極的に反応。石崎監督も「まだ初めてだが今後、キリノが、クライトンの感じているところに、抜け出せるようになると良くなる」と及第点を与えた。クライトンもピンポイントパスの「クライトンビーム」を連続発射。細かいミスはあるものの、チーム合流11日とは思えぬ判断力で配球しリズムをつくった。

 個人で打開できる助っ人3人の合体は、若いチームにとって大きな存在だ。前半は、J1相手に守備で後手に回った。石崎監督は「(前半は)びびっていた」と振り返る。日本人選手が精細を欠いた分、キリノら3外国人選手が個々の能力で局面を変えようと必死で走り回った。

 外国人の能力だけでなく、チーム全体での積極的なプレスがそろってこそ、石崎札幌の完成形が生まれる。指揮官は「後半のサッカーを前半からできないといけない。指示を出されないと変わらないのでは」と課題を口にする。昨季J1で6位の相手に逆転勝利したからといって、ぬか喜びは危険だ。開幕まで残り2週間で、揺るがぬ形をつくっていく。【永野高輔】