上里が強行出場へ-。コンサドーレ札幌MF上里一将(23)が、頭部裂傷をおして29日の岡山戦に出場する。前節25日の湘南戦でFWキリノと衝突し負傷。右側頭部を8針縫いながら、27日に札幌・宮の沢で再開されたチーム練習に合流した。傷の影響は残るが「大したケガじゃない」と出場を志願。石崎信弘監督(51)も起用する方向性を示した。連敗ストップへ、主将が闘志あふれる姿勢でチームを引っ張る。

 傷口が裂けたっていい。上里が悲壮な覚悟で岡山戦に臨む。オフ明けの27日の練習、笑顔でグラウンドに登場した。「痛みはない。(岡山戦は)出るつもり。傷が開いたらまた縫えばいい」。25日湘南戦に出場したメンバーは軽いランニングなどで終える中、上里は控え組とともに瞬発系の激しいメニューを消化した。負傷後わずか2日ながら、戦う姿勢はまったくうせていなかった。

 悔しい思いを岡山戦にぶつける。25日の湘南戦は前半7分にFWキリノと衝突し負傷退場。病院へ搬送され、傷口の縫合を受けている間に敗戦を知った。「ショックだった」。主将としてホーム初勝利に貢献できず、チームは連敗を喫した。主将として、その場にいることができなかった責任を痛感している。

 オフだった26日は自宅で静養。右側頭部の傷を保護するため、サポーターで頭を包みこみ左を向いたまま就寝した。「昨日は腫れがあったがもう大丈夫」。幸い、負傷個所がキリノの前頭部と異なり、横にずれているため、ヘディングに直接影響はない。ドクターストップもかからず、岡山戦出場は上里の意思次第だけに、支障はない。石崎監督も「大丈夫じゃないかな」と戦線復帰にゴーサインを出した。

 21日には、同じ頭部裂傷で7針縫った浦和DF闘莉王が、縫合わずか1週間でヘアバンドを付け試合に出場した。上里が出場すれば縫合5日目と“闘将超え”も果たす。「血が止まるまでは怖くて目をつぶってしまったけど…」と苦笑いするも「もうヘディングだってやれます」と吹っ切れている。血は怖くても、ボールが大好きな若き主将が、勝ち点3を奪うため、ピッチに立つ。【永野高輔】