<J1:鹿島2-1東京>◇第5節◇12日◇味ス

 鹿島の大型新人FW大迫勇也(18)が、アウェーの東京戦でリーグ初ゴールを決め、チームを今季初の首位に導いた。1-0で迎えた前半15分、DF朴のパスをペナルティーエリア内で受けると、敵2人のマークを受けながら豪快に追加点を奪取。7日のアジア・チャンピオンズリーグのシンガポールAF戦に続く2戦連発で2-1の勝利に貢献した。

 高い技術と冷静な判断力が融合した、ルーキーらしからぬゴールだった。前半15分、朴からのパスをペナルティーエリア内で受けると、大迫はすかさず前を向き、背負っていたMF羽生をかわした瞬間に右足を振り抜いた。「野沢さんと小笠原さんがフリーだったけど、GKが見えてニアが空いていたので思い切り打った」。放たれた一撃は、東京ゴールに吸い込まれた。

 ACLシンガポールAF戦に続く公式戦3得点目は、チームを首位に導く事実上の決勝弾。「自分としてはペナルティーエリアの中で相手の怖がるプレーをしたかった」。直後の18分にもMF本山の右からのクロスに反応してニアに走り込み、右足ボレーシュートで合わせてみせた。ゴールはならなかったが、背番号34の存在は間違いなく脅威となった。

 鹿島の鈴木満強化部長は普段から「大迫は何かを持っている。ボールが自分のところにこぼれてきたり。FWはそれが大事」と評する。この日も、元日本代表の羽生が「1回ボールを取れたと思ったけど、押し返されて取られた」と話したように、ドリブルが相手に1度阻まれたが、はね返りは大迫のもとに収まった。持ち合わせた「運」も、点取り屋の才覚の一端を表していた。

 高温多湿のシンガポールAF戦から中4日。普段は弱音を吐かない男も「正直、体は重かった」とこぼした。前半30分過ぎから蓄積された疲労でチーム全体の運動量は激減。その中でも前線から守備に走ったのは「ここで頑張れないと、鹿島でやれる選手にはなれない」という危機感と意地があるからだった。

 鹿島のリーグ通算1000得点(現在998点)がかかる18日のホーム横浜戦に向け、大迫は「出られるか分からないので練習からアピールしたい。今日も他に点を取れるところがあった。1000得点?

 考えてないっす。必死なんで」と冷静だ。満足より成長。果てない向上心が18歳の快進撃を支えている。【菅家大輔】