<J2:C大阪4-1福岡>◇第17節◇23日◇長居

 C大阪の20歳のFW乾貴士が、J2最多タイとなる1試合4ゴールの大爆発を見せた。前半42分に先制弾を決めると、後半26分からは9分間で3発の固め打ち。驚異的な得点力でJ2史上6人目の快挙を達成。今季9得点とし、J2得点ランク首位で同僚の日本代表MF香川に1点差と肉薄した。C大阪は乾の活躍で4-1と福岡に大勝、5連勝で首位をキープした。

 まさに“乾劇場”だ。驚異の20歳が本拠地長居のスタンドを大歓声からため息へと変えていく。前半42分。香川との「あうんの呼吸」で守備陣を崩して1点目。圧巻はその後だ。後半26分からは、DF裏に飛び出すパターンを繰り返し、9分間で3ゴール。J2史上最多タイの「1試合4発」を決めてしまった。

 乾

 高校時代にも(1試合4発は)ないですね。相手のDFラインが揃っていなかったから、裏を狙っていました。2点目を取ってからは、相手は前がかりになったので狙いどころかなと。今まで(点が)取れていなかったから良かった。

 4点のうち3点を、私生活でも仲のいいMF香川のアシストから決めた。今季9得点で、得点ランクもトップ香川に続く2位タイに急浮上。自分の演出から、結果的に背中を突かれる形になった同じ20歳の香川は冗談交じりで「ふざけるなって感じです。ウザイです」と苦笑した。

 天才肌ではない。本当の努力家だ。練習開始1時間以上前から、誰もいないグラウンドに出て黙々と早出練習をする。食事にも気を配り、栄養バランスを考え、カロリー計算までして自炊をする。大阪に新型インフルエンザの感染者が出た際は、クラブからマスク着用が義務付けられる前に自分でマスクを購入した。今年1月にA代表に選出され、プロ意識も高まる一方だ。

 Jでは日本代表に初選出された浦和の18歳山田直、G大阪の17歳宇佐美、鹿島の19歳大迫ら10代がクローズアップされている。しかし、自身の代表復帰と、チームのJ1復帰へ-。20歳の乾も負けてはいない。【益子浩一】