新兵器を「左のスナイパー」が手にする。J1山形DF石川竜也(29)が28日、リーグ再開(6月20日)までに無回転FKを習得する考えを明かした。この日も居残りで約20本、蹴り込んだ。「完成度は30%。再開後の武器になればっていう感じ」と控えめだが、好感触を得ている。

 ゴールほぼ正面、約30メートルの距離から石川が蹴り続ける。「軌道が分かんないので基本は枠内狙い」というシュートは、生き物のように揺れながらゴールネットに突き刺さる。得点機のFKを任せられる石川は「責任が重いからまだ試合では使えないけど、1カ月続けて蹴り続けられれば完成できる」とニヤリと笑った。

 実は山形に移籍した07年から、練習はしていた。ただ普段の練習場の状態が悪く、しっかり踏ん張れるNDスタでの練習後だけ、居残りトレで試した。1週間に1回ほどしか練習時間がなく「蹴り込むのが一番いいんだけど(不足分はマンチェスターUの)Cロナウドとかの映像を見てイメージしていた」と明かす。

 簡単に失点しないJ1のGKの、レベルの高さを痛感し習得に本腰を入れたブレ球。「難しいからこそ蹴れたら武器になる」と石川は笑う。名前の「竜」のごとく暴れながら相手ゴールを襲う「ドラゴンボール」の完成を、ファンも待ち望んでいる。【山崎安昭】