<J2:熊本1-0札幌>◇第27節◇11日◇札幌厚別

 屈辱の敗戦-。コンサドーレ札幌は熊本に0-1で敗れた。前半39分に熊本DF原田拓(26)が2度目の警告を受け退場。札幌は残り51分間、数的優位に立ちながら決定機を決めきれず、後半25分にミスから失点するとそのまま逃げ切られた。シュート数は今季最多23本放ったが、たった2本の相手に負けた。これで札幌厚別での未勝利は08年7月5日の清水戦以来13試合連続と、クラブ記録を更新した。

 あまりに情けない結末に、温厚で知られる札幌サポーターも堪忍袋の緒が切れた。試合終了の瞬間、札幌厚別のスタンド全体から猛烈なブーイングがわき起こった。「遊びじゃないんだろ」「これで勝てなかったらどう勝つの」「へたくそ」。あいさつに向かった札幌イレブンには水がかけられ、ファンの1人がスタンドに飛び降り、警備員に押さえられるなど一触即発のムードが漂った。

 数的優位に立つ前から、既に暗雲が漂っていた。「立ち上がりも悪くなかったし、もう少しゴール前での工夫があれば」と石崎監督は言う。前半開始から、パスミスも少なくセカンドボールも拾える順調な出足だった。だが高い位置でボールを奪っても、まずサイドバックの上がりを待って開いてからゴール前に上げるという一本調子。一気にカウンターで仕掛けたり、空いた中央のスペースを確認することもなく、スピード感のない攻撃を繰り返した。

 前半39分に熊本が1人退場後、守りを固めドロー狙いにくることは当然、想定できた。熊本はFW木島だけが前線で張り、残り9人がゴール前に立ちはだかった。相手が攻めてこないからこそ逆に、札幌がチャンスをつくることも困難になった。

 「こじあけるつもりで入ったが結果につながらなかった。責任を感じる」とFW中山。石崎監督は後半9分に中山、同15分に上原と、FWの選手を立て続けに投入し、打開を試みた。それでも得点は奪えず、じわじわブーイングが出始めた後半25分、DF西のクリアミスがゴール前にこぼれて痛恨の失点となった。

 クラブはDF選手を中心に補強リストをつくり、今月中の獲得を目指し動いているが、選手が1人増えてもチームが劇的に変わるとは思えない。「ミスを恐れている。ダイレクトでできるところをコントロールしようとしてリズムができない。相手も必死だからこそ、すぐ寄せられてしまう」と石崎監督。戦力補充以上に、失敗を恐れない、ひたむきなチャレンジ魂が求められている。【永野高輔】