拓也がいれば負けない!

 J1リーグ3位の清水は、次節(30日、等々力)で2位の川崎Fとの直接対決に挑む。7月に入ってからレギュラーに定着したMF本田拓也(24)は、今季出場した9試合で、いまだ負けなしと、上位浮上の原動力となっている。優勝争いに食い込むための大事な一戦に、「不敗神話」を引っさげて敵地に乗り込む。

 心地よい余裕が本田の自信をよみがえらせた。「今は、ボールを受ける前から、いいイメージがある。自然と浮かんでくるんですよね」。2位につける川崎Fとの直接対決を前にしても、気負いはない。心がけることは普段からよく口にする「いつもどおりに」ということだけだ。27日の戦術練習でも、相手の攻撃の芽をいち早くつぶす献身的な守備と、長短を交えたパスを供給し攻撃のリズムをつくった。

 開幕から15節までは、柏戦で先発しただけで、ベンチ入りもわずか4試合にとどまっていた。しかし、6月3日のナビスコ杯予選(千葉戦)でMF山本真が負傷退場し、急きょ代役として出番を得た。思わぬ形で回ってきたチャンスをものにし、一気にレギュラーに定着した。長谷川監督も「今は拓也がゲームをつくっている。周りの選手との関係もうまくいっている」と高評価。気がつけば出場したリーグ戦は9戦負けなしの「不敗神話」まで樹立していた。

 ライバルとの負けられない戦いもある。「(川崎F・MF)谷口には負けたくない。お互いに意識している」。同じ神奈川県出身で小さいときから何度も対戦してきた。「今までは、ほとんど負けてる」。プロ入り後も同様だ。去年の川崎F戦で、1-0でリードした後半途中に、本田が途中出場すると、川崎F・MF谷口に2得点を許し、1-2で逆転負けを喫した。

 「今はチームの状態もいい。あのときとは全然違う。自分自身の調子?

 ダイレクトパスも使えてるし、パスコースが2つぐらい見えてる。調子はいいっすよ」。リベンジを果たす準備は整った。上位同士の大一番で「負けない男・本田」が、逆襲を仕掛ける。【為田聡史】